リレー連載 Road to Paralympic 「縦横夢人」2021年冬号(No.31)

「縦横夢人」2021年冬号(No.31)2021年2月15日発行

リレー連載
Road to Paralympic

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伊藤 靖幸

 今回は2015年6月30日に六甲山キャンプ場でキャンプを行ったことについて報告します。そもそもなんでキャンプをすることになったかというと、障害者同士で何か新しいことにチャレンジしてみないか・何か面白いことしてみないかという話をしていた時に‘キャンプしたいですね‘そんな一言からでした。
 まずキャンプができる場所を調べました。いろいろあったのですが、「六甲山YMCAキャンプ場ならいけるのではないか?」となり、動きだしました。しかし、六甲山YMCAキャンプ場のHPやインターネットで調べてみましたが、実際に行ってみないと分かりませんでした。アクセスはどうなのか?キャンプできるのか?を調べるために聞きに行きました。まずアクセスでは、JR三田→阪急宝塚→阪急西宮北口→阪急六甲→阪急バス六甲→丁字ヶ辻のルートで行きました。阪急六甲までは問題なくいけるのですが、阪急バス六甲から丁字ヶ辻が山奥ということもあり、かなり揺れました。何とか到着して、次は六甲山YMCAキャンプ場に行き、電動車椅子でキャンプ出来るか聞きました。キャンプ場のスタッフにコテージを勧められたのですが、そこは断わって何とかキャンプできないか全集中の呼吸で頼みました。そうしたら、「普段は使わないメイングランドでよければ」と提案してくださり案内してもらいました。


メイングランド

 これなら大丈夫だと感じました。場所はクリアできましたが、まだまだ問題はありました。
テントを張ることは決めたのですが、頸損者をどうやってテント内に入れるか?ということが問題でした。いろいろと意見を出し合って、この方法がいいんじゃないかと決まりました。それはまずテントの外でリフターを組みエアマットに降ります。エアマットの上に寝たままエアマットごとテント内に動かすというやり方です。多少強引ですがこのやり方しか考えつきませんでした。もちろん動かすときはエアマットの4角を4人で持って動かしてもらいます。エアマットへの移乗は、トラベルトラックという持ち運びができるリフターを使いました。(現在は製造中止)


トラベルトラック

 次の問題は、キャンプ場までのアクセスです。今回、電動車椅子4名+介助者4名の8名で、そのうち3名の電動車椅子が公共交通機関を使って行きます。電話で阪急バスに問い合わせたところ阪急六甲駅から丁字ヶ辻まで行くバスは電動車椅子が1台しか乗車できませんでした。その為、行きは私一人だけバスで行き、残りの3台は宮野さんの車でピストンして丁字ヶ辻まで行くことになりました。帰りは阪急バスを使うと帰りが遅くなってしまう為に福祉タクシーを使うことにしました。 
 次の問題は雨が降った場合どうするのかです。6月末で梅雨明けしているか微妙なことと山の天気は変わりやすいためどうするか悩みました。雨予報なら中止にするしかないのか、そんな考えが頭をよぎった時、キャンプ場のスタッフが、多目的部屋でよければお使いになっていいですよ!!…あなたは六甲山の神様ですか(笑)中を確認させてもらい、机を動かせばテントも張れるとわかりました。これで準備万全。
 そして当日。快晴ではなく、くもり。予定通り阪急六甲駅まで行き、私だけ阪急バスで丁字ヶ辻まで行きます。全員が揃ったところで手続きを済ませていざメイングランドへ。行って少ししたら雨が降って来始めました。山の天気は変わりやすいとおばあちゃんが言っていたので、信じて晴れになるのを待ちましたが土砂降りに(涙)。でも事前に雨対策も考えていたので多目的部屋にテントを張りキャンプを行いました。ちなみに夕食は多目的部屋内にちょっとした調理場がありカレーライスでした。夜も更けてきて就寝準備を始めました。予定通りトラベルトラックでエアマットに降り、4人でテントまで動かしてもらいました。テントはタフワイドドームIV/300というもので4~6人用です。これがテント内での寝方です。褥瘡予防の為にナーセントパットという褥瘡予防クッションをお尻に入れています。疲れていてよく就寝できるかと思いましたが、慣れない環境&介助者のいびき(笑)であまり寝られませんでした。


テント内での寝方

 朝になり、車椅子からテント内に移ったやり方と逆のやり方で車椅子に戻りました。テントをたたんで帰り支度を行います。その後、六甲山YMCAキャンプ場とスタッフに挨拶をして帰りました。
 
 私のような重度障害者には、様々なバリアがあります。その中でもキャンプなんて正にバリアの塊のように感じていました。最初にキャンプと聞いた時は無理だろうなぁと思いましたが、諦めなければ様々な問題を乗り越えて(解決して)いくことは出来るんだなと感じました。障害者本人がやりたいという気持ちがないといけませんが、関わる人(今回のことでいえばキャンプ場のスタッフ)も同じ気持ちだったことがキャンプを成功させた要因でした。物理的なバリアもですが、間接的なバリアをフリーにすることも大事だと感じました。
最後にキャンプすることは出来ましたが、私のひそかな目的は達成することが出来ませんでした。それは、満天の星の下でキャンプファイヤーすること!実現させたらまた報告します。


集合写真

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