特集 「コロナ生活実態調査のアンケート」 結果報告 コロナ禍での気づき・生活の中での工夫 「縦横夢人」2021年秋号(No.34)

「縦横夢人」2021年秋号(No.34)2021年12月6日発行

特集
「コロナ生活実態調査のアンケート」
結果報告

コロナ禍での気づき・生活の中での工夫

 この1年間で、気づいたこと、新たに発見したこと、生活の中で工夫したことについて自由記述で回答してもらった。感染症の拡大により外出が難しくなったのをきっかけに、オンラインを活用するようになったという意見が多く見られた。自宅で過ごすことが増えたのをきっかけに生活を見直したり、感染の予防のため健康管理に今まで以上に気をつけるようになった人も多かった。

・通勤や出社だけで運動になっていたが、家からもはや部屋から出ない生活になって体力が落ちたのに気づいた。でも仕事はテレワークで十分で通勤がない分、体力が消耗されず仕事に集中できるようになった。パソコンが顔の高さで見られるように台や、ワイヤレスキーボードを購入して、働きやすく、良い姿勢でいることを意識するようになった。外に出る怖さもあるが、車いすを消毒しないといけないので、それが面倒で外出しなくなった。
・宅配サービスを利用していた。
・フェイスガードを付けて外出するようになった。
・オンライン会議は新しい会議方法の一つになった
・仕事以外では外出しないようにした
・他者とのコミュニケーションはリモートでも充分に出来る事。勉強会など、会場に行かずにYouTubeで配信されたものを見て学習できる事がわかった。
・オンライン活用の有効性を体感する一方で、対面の重要性を再認識。
・交流会や会議等、オンラインの方が会議や研修会に参加しやすくなってありがたい。
・健康管理に気を付けている。
・曜日感覚が分からないときがあり、月に2度必ず火曜日に買い物に行く。火曜市は安くなる。
・外出を控え、ネットでの買い物等を行っている。
・コロナ前は自宅で1人でしたが、主人の仕事が在宅が増えたので、自宅で1人で過ごす時間が減ったので、メンタル面で不安が少し軽減しました。
・AIスピーカー(アレクサ)の設置
・在宅ワークに入ったことによって、日ごろやっていない自主学習ができた。
・公共交通機関を使用しなくなった。
・うがい、手洗い、換気など感染予防に関するグッズの購入
・オンラインが活用できることがわかった。交通費や通信費が減った。
・各ワクチン接種会場は車椅子利用できますか?多目的トイレと車椅子駐車場は完備していますか?
・今回のような事態は初体験であり、いろいろと勉強になった。直接会えなくても、オンラインでつながっていれば交流はできるとわかった。相手がやってる麻雀等のネットゲームも、始め方からやり込みまでいろいろできるのはありがたいと思った。
・lineは信用できないこと。
・私が濃厚接触者になったら、訪問看護と1社のヘルパーに断られた。自分の生活を支えている現実を思い知りました。
・頸髄損傷になった時もそうですが、当たり前の普通の生活が何より大切で幸せであることを改めて感じました。県外の友人と会うことや県外に旅行に出かける事が全くなくなってしまったので、「不要不急」の言葉に対して考えました。
・玄関にアルコール消毒スプレーを設置した。
・外出からの帰宅時に車いすのタイヤやキャスターの消毒が手間がかかる
・日本政府は間抜けで、地方公務員は自分で考えて仕事ができないことに気づいた。
・体温、血圧、血中酸素など毎日計るようになり体調の変化に気づきやすくなった
・食事の見直し(免疫アップ)
・ほぼ毎日のようにしていた外出ができなくなって、家の中での生活が中心になったことにより、炊事、掃除、整理を怠っていたことに気づいた。介助者任せであったことにも気づいた。自分で把握し、チェックして依頼するよう生活を見直しました。外食が減り家での食事が増えたことで、調理に関心を持つようになった。Webでレシピが膨大に公開されていることを知り、衝撃を受けた。Webでのレシピを活用するようになり、三食の献立を考える苦労が減った。
・衛生管理の出来てないヘルパーへの指導を徹底した。訪問時に手を洗わないヘルパーが少なくなかった。
・対面での会議(打合せ含む)が多かったが、リモート会議で短時間で済むことが分かった。
・手洗い、うがいの大切さ。外出セーブで時間がたっぷりとれ、用事がはかどる。いらないものを買わなくなった。考える時間が増えた。

現在、心配・不安に思うこと

 現在、心配なこと、不安に思うことがあるか尋ねると、自分や周りの人が感染した時に医療や介護を受けることができるのか不安に思っている人が多かった。オンラインでの仕事や交流が増えた一方で、対面での交流が減り、人との関わりが薄くなったと感じている人もいた。アンケート調査を行った6月時点ではワクチンの接種がまだ進んでおらず、ワクチン接種に関する不安や心配も多く見られた。また、ウイルス感染の収束時期がなかなか見えないことに不安を感じている人も多かった。

・いつまで続くのかなと思う。外に出るのが怖いなと思うし、意欲もなくなってきて気をつけないと引きこもりになりそう。
・コロナがいつ終息するか分からない。
・ワクチン接種について。接種時期・副反応等への不安や心配。
・いつ以前のような生活が戻ってくるのか
・健康状態
・昨年末、妻や子供の仕事場(教育関係)に通う子供たちの家族に感染がわかり、生徒自身の感染(PCR検査)結果を待つ間、家族が自宅で呼吸器弱者の私とのかかわりを持つ方法に苦心していた。その時は、陰性だったが、今後、変異株が増え子供たちにも感染しやすい状況になれば、仕事場での感染のリスクと共に、家庭で私と接する上での精神的負担が増えることが心配ごとである。
・介助者や自分が感染しているのかわからないことが不安に思う
・現在、リハビリ病院でのリハビリを受けることが出来ているが、今後コロナ感染が広まれば外来患者の受け入れを拒否されるのではないかと懸念している。
・コロナ感染
・第4波、5波(終息せず、ずるずると長引くこと)・コロナ禍が終息しても、なんの教訓も得ず、従来どおりの政治、行政が続くこと。
・コロナの終息が長引くことで引きこもり状態になるのではないかとの不安がある。
・この期間がいつまで続くのかは不安
・体力、筋力低下が不安です。
・呼吸器疾患のある私が、新型コロナウイルスに感染し重症化する恐れ
・いつ予防接種ができるのか。いつコロナが終息するのか。いつマスクを外せるのか
・感染した場合どうなるのか、介護、医療を含めて
・感染予防する人としない人が同じ空間に居る時に不安を感じます。
・ワクチン接種を無事に終えた上での、コロナウイルスに対する安全性など。
・人との関わりが薄れていくこと
・コロナだけでなく災害等の際にも、どうするか?
・ワクチン接種後も同じようなマスク着用や会食、県外の旅行について、見えない同調圧力が続かないか心配です。
・地元の医療機関、福祉機関がコロナで停止しない事を願うばかりです。
・コロナの収束時期
・テレワークやリモートでのコミュニケーションが増えたことはありがたいが、対面式での情報交換が減ったことにより、本来気づけるような表情の変化や感情の変化を見落としているような気がしてならない。ピアサポートは密な空間で得られる情報が多いため、対面式を自粛しなければならない期間がいつまで続くのか心配である。
・看護、介護、消防関連職へのワクチン接種の遅れが酷い。
・仕事が減って今後の職場が心配(仕事内容の変更、配置換え、減給)
・私でもヘルパーさんでもコロナにかかった時、一人暮らしなので在宅待機が難しいので不安。
・家族のコロナに感染した場合

これからの地域・福祉・医療・社会への意見

 アンケートの最後に、これから地域・福祉・医療・社会に対して期待すること、提案したいこと、挑戦したいことについて尋ねた。

・仕事中(在宅だけでなく)通勤、通学、出張(国内、海外)でもヘルパー利用ができるようになってほしい。
・テレワークで障害者も働きやすくなったと思うので、もっと重度でも意欲のある人が希望する職種で働けるようになってほしい。
・ワクチン接種を早めてほしい。
・公共交通移動手段の確保利用
・感染しない、させない。努力をしているが一人ではどうしようもないことがある。早くワクチン接種が広がるように願っている。
・障害者のデイサービスが無い。出来れば中途障害者と先天性の障害者とデイサービスを分けて欲しい。
・PCR検査をいつでも誰でもできるようにしてほしいと思う
・居宅介護やデイサービスでもヘルパーがストレッチなど出来るような研修等を実施して欲しい。
・様々な手続きのオンライン化
・他者から行動や生活様式を制限、管理されるということがどういうことかを日本中、世界中の人が経験した。なぜ、施設ではなく、地域生活が重要か、家族介護に依存しない自立生活がいかに人の尊厳を守るのか、を一般の人が理解しやすい状況ができた。障害者権利条約の完全実現に向け、この経験は大きい。
・災害発生したときの避難生活での感染症対策
・情報社会と言われて久しい日本でも、今回のコロナ禍においては情報不足で多くの人が混乱させられた。特筆するのは、コロナ禍で介護者が感染を避けるために利用者を放棄状態にした事業所があると聞く。情報不足からくる行為であるなら、今後は正確な情報を発信できる拠点づくりと情報弱者と言われる人へのネットワークの構築をやっていきたい。
・PCR検査を無料で定期的に行ってほしい
・居宅介護のヘルパーさんのワクチン接種順位が遅いのはおかしい
・コロナによって生活環境が変わって福祉サービスなどが使いづらくならないよう、当事者の意見が反映される体制の整備をして欲しい。
・在宅医療介護の充実
・オンラインで多くの人と繋がれるように期待したい
・一人一人の声に耳を傾けて、より連携した対応が柔軟にできるよう期待したい。
・公共機関の乗り場にスロープ無しでもいつでもスムーズに乗降できるようにしてほしい。介護タクシーに乗ると乗り心地が悪いし、シートベルトの位置が悪い。快適なタクシーを作ってほしい。排尿障害のため用品、費用がかかるため、どこの地域でも無料にしてほしい。女性には生理用品も無料で提供してほしい。トイレの利用時間がかかるため、快適に過ごせるように公共バリアフリートイレを増やしてほしい。新幹線の車内にバリアフリートイレを増やしてほしい。ロックダウンが必要なら、最終手段としてやってくれてもかまわない。憲法などが壁になるなら、法整備してでもロックダウンを実行して人流を抑えるべき。コロナが流行する前に戻ることだけを願うばかり。
・尊厳死について認める法律を作る
・ワクチン接触を介護職にも、早く実施してほしい。
・多様性を認めるような社会になってほしいです
・人口低下による福祉・医療機関等の人材不足に尽力していただきたい。
・障害者の声を真摯に聞いてほしい。
・オンラインを活用した障害者の就労(障害者の社会での役割)
・コロナ禍で社会が経験した、何に対しても自粛を求められる、家の中に閉じ込められる、買い物にも行けない、仕事にも就けない、学校にも行けないは、今まで障害者が当たり前のように社会から押しつけられてきたことです。今回を好機ととらえ、誰もが参加できる方法を考えなくてはいけないのではないでしょうか。
・人ごとではなく、自分に置き換えて考えてほしい。
・ヘルパーさんがいないと言われないか不安。
・実効性のある対処。

まとめ

 今回、頸髄損傷者を対象に新型コロナウイルスによる生活への影響をアンケート調査し、以下のようなことがわかった。

  1. コロナ禍により移動支援の利用が減っていたが、居宅介護や訪問看護の利用に変化は見られなかった。
  2. コロナ禍で影響を受けた生活動作は移動が最も多く、次に「食事」、「移乗」の順で多かった。
  3. コロナ禍で「体力が落ちた」、「身体が動かしにくくなった」、「気分の落ち込みがあった」人が多かった一方で、特に変わりはなかったとも4割近くいた。
  4. 感染拡大前は職場に通勤していた19人のうち、10人でリモートワークへの変更があった。
  5. 感染の拡大により、対面での交流からオンラインでの交流に変わった。
  6. 感染拡大前からオンラインの環境を整えていた人が46.6パーセントと多く、比較的スムーズにオンラインでの交流に対応できる人が多かった。

 今回の実態調査アンケートの結果については、全国頸髄損傷者連絡会の機関誌やホームページでも掲載予定です。


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