縦横夢人2011年夏号(No.3)2011年6月1日発行
兵庫頸損連絡会 第1回 総会を終えて
会長 三戸呂克美
去る4月17日、晴天に恵まれた日曜日、兵庫頸損連絡会が発足8年目にして初めての総会を開催した。会場はJR三田駅前にあるキッピーモール6階の三田市まちづくり協働センター多目的ホールである。
8年目にして初の総会であったが皆さん戸惑うことなく無事終えることができた。それもそのはず、それまでは定例会として総会と変わらないプログラムで配布資料なども作成し開催していたからである。それで「今更どうして?」といった疑問にお答えする責任もあり、ここで述べることにいたしましょう。
頸損連絡会のように当事者会の設立は、同じ病院に入院中に同じ障害を持ち知り合った人が仲間内で作る会が一般的で、その情報を知りたくて友が友を呼び会員が増える、といったパターンが多い。ただ、頸髄損傷はメジャーな障害ではなく、入院中の頸損は自分一人といったこともあり、OT、PT、MSW、看護師を通じて会を紹介され入会する人もいる。
兵庫頸損連絡会が発足したのが2003年4月である。先にも述べたが、当時から総会に代わる定例会を開催していた。規約に載っている会議には、「総会」―「例会」―「役員会」があり、それぞれの会議には役割があり、例会は総会に次ぐ位置付である。しかし、どの会も会員の親睦、交流、生活向上を目指す会活動を話し合われるので、今まで開催していた定例会は規約から言えば間違いではなかった。総会としなかったのは、会員数と活動方針を考慮してのことである。兵庫頸損連絡会が発足しても、多くの兵庫県在住者は兵庫支部発足前から関西圏で中心的に活動していた大阪頸損連絡会に継続加入している。頸損連絡会への加入は、本人の意思で所属先を自由に選べるようになっている。申込者の居住エリア近くの連絡会(支部)を紹介することが一般的である。
総会を開くために満たすべき条件として、我々は活動の充実化と会員数の増員を目標とした。設立してからの主な活動として、全国大会、市民公開講座、機関誌の発行、ホームページのリニューアル、大蔵海岸でのBBQ大会があげられる。懸念していた会員数が伸びずに来ていたが、現在、全会員数24名となり、総会を開く条件に達したと解釈し第一回目の総会開催となった。総会には、所用で来られなかった人を除く大半の会員の参加があり、ハガキでの委任状も集まり、第1回目の総会は成功裡に終えることができた。
-2010年度活動総括-
会長 三戸呂克美
東北関東大震災で被災された皆様にお見舞いと、お悔やみを申し上げます。
2010年度の総括としてまず挙げておきたいことは、まだ記憶に残る猛暑との戦いに頸損者として生き残れたことに感謝します。思い出すのも嫌になる夏場でしたが、兵庫頸損連絡会は多くの事業を成し遂げました。
2010度の活動方針は以下の4つを設定しました。
・個々のセルフヘルプを重点に置き、会員および他の頸損者へのエンパワーメントを継続する。
・高位頸損者が参加しやすい行事の開催、社会参加と自立につながる活動を継続する。
・障害者権利条約・差別禁止条例に関する啓発活動・他団体との協働を行う。
・医療機関との連携、頸損を受け入れる病院を増やすための活動を行う。
定例会は会の充実と共に総会へとシフトすることが決まり、今回ここに第1回総会を開催することとなり準備を進めてきました。これも会員の皆さんのエンパワーメントであると思います。
頸損となり一度は人生をあきらめなければならないと感じた方もおられると思います。しかし、仲間のセルフヘルプで立ち直り、みんなと共に生きる喜びを感じたことを次の人へと受け継ぐ。そして仲間が仲間を呼ぶように、他の団体、違う障害を持った人との交流で、自分が障害を持っているのが悪いのでなく、環境を整備することで障害がなくなったり少なくなったりすることを学ぶことができました。
自分や自分と同じ障害を持つ人のみの交流は偏った見方をします。一方的な見方ほど危険なモノはありません。そんな弊害をなくするためにも、障害者の権利条約や差別禁止法(条例)を策定するときは、多くの団体、障害の違いを超えた人たちと一緒になって運動をし、我々の要求を届けるために続けていくのです。
高位頸損といえば人工呼吸器を使用している人が会員の中にもおられます。兵庫頸損連絡会から発した人工呼吸器を使用する高位頸損の人たちが月に一度の会合を開いています。自分のことを人任せにせず目の前の問題と向き合い、切り開いていく日々は想像を絶する戦いといえるでしょう。仲間にエールを送り支援できることは協力したい。
頸損者の受け入れ可能な医療機関を増やすことは、日々の生活に安心を与えます。2年前より、西播磨リハセンターとの協議で(受け入れ条件はありますが)、頸損者の受け入れを行っています。しかし、人工呼吸器を使用している頸損者を受け入れる態勢はありません。病院との協議は、我々の不安を1日でも早くなくすことを願って粘り強く続けます。会員の皆さんもご支援・ご協力をお願いします。
各事業につきましては、会員の皆さんのご支援もあり参加者も大きく伸びました。特に恒例となった秋のバーベキュー大会には80名の参加者がありました。天候にも恵まれ皆さん楽しまれたと思います。年末の忘年会やイベントの企画は、人工呼吸器を使用している米田さんをリーダーに計画されました。重度の障害だから何もできないではなく、出来ることをやることで大きな事業もできるのです。
夏の猛暑の中、近場で散策イベントを企画し、明石市江井ヶ島に行き明石市在住の高位頸損者を家の外へ誘い出しました。初めての交流でしたが本人さんはもとよりご家族の皆さんの楽しそうな顔に我々はほっとし、セルフヘルプをやり遂げた心地良い気分になれました。
兵庫頸損連絡会の事業はアクティブなモノから繊細なことまで実施しています。機関誌「縦横夢人」の発行は、会発足7年目に出した機関誌です。セルフヘルプの情報提供を受け持つ機関誌を発行できたことは会の充実と会員の高いスキルがなければ難しいとされています。また、インテリジェンスなテクニックがいるホームページを、今までの担当者から次の担当者へスムースにバトンタッチし、リニューアルしました。皆さんに大いに活用していただきたいです。
兵庫頸損連絡会も会員の増加で会としての運営もできるようになりました。しかし、情報も届かず不安な日々を過ごしている人もいると思います。会員でなくても情報の交換は出来ます。頸損でなくても他の障害でも我々は拒みません。見かけたら声をかけてみてください。障害者である前に人間として。
震災の影響は日に日に深刻化します。2011年度の全国総会も中止になりました。我々は今何をやるべきか、を考え頸損連絡会としての使命を果たしていけたらと願います。