障害者差別禁止条例目指し勉強会 水戸・つくばの支援団体:茨城新聞ニュース
以下茨城新聞ニュースの転載です。
障害を理由に障害者を不利に扱うことを禁じる条例の制定を目指して、水戸市とつくば市の障害者支援団体が動き出した。健常者と同じ日常生活を過ごせる社会の実現を図る。条例に関する勉強会などを重ね、理解を深めた上で、条例化を求めていく方針だ。千葉県、北海道、岩手県、熊本県ではすでに条例化されている。茨城県障害福祉課は「現時点で条例案を提出する予定はない。勉強中の段階」としている。
活動を始めているのは、水戸市赤塚1丁目の障害者支援団体「CIL(自立生活センター)いろは」の稲田康二さん(42)とつくば市天久保2丁目の「CILほにゃら」の斉藤新吾さん(36)。「茨城に障害をもつ人の権利条例をつくる準備会」を昨年、設立した。
準備会は通称「いばけんつ」。2人は同会の世話人として県内各地を回り、勉強会を企画。今月23日は筑西市で講演会を予定している。稲田さんは「障害者の仲間をつくり、皆の体験を基に条例の中身を一緒に考えたい」と意欲を見せる。斉藤さんは「障害者が参画した条例に意味がある」との見方を示す。
現段階では県議会へ条例制定を要望する予定はない。稲田さんは「まずは障害者が理解を深めるのが大事」。斉藤さんは「実効性のある中身にするためには、第三者による調整機関も必要」と話す。
2人は障害者が健常者を上回るような権利を求めていない点を強調する。差別をする人に制裁を加えるのが目的ではなく、互いの理解を深めた上で「条例化で障害者が生活の中で諦めていたことが一つでも減ればいい」(斉藤さん)。
千葉県で2007年7月、全国初の条例が施行されて以降、障害者による取り組みは各地で広がっている。茨城県障害福祉課は「他県の情報を収集している」と説明。当事者の障害者の声が大きくなれば、条例化の追い風となる可能性を指摘する。
国は07年9月、国連の障害者権利条約に署名。対応推進チームが障害者への差別を禁止する法律の整備を検討している。同課の担当者は「法律ができれば、都道府県レベルで条例を制定する動きが加速するかもしれない」としている。