「障害者差別なくそう」条例目指し動き拡大-宮崎2011年09月08日

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以下は朝日新聞より転載です。

「障害者差別なくそう」条例目指し動き拡大2011年09月08日

  障害のある人への差別をなくすため、県内の関係団体が条例の制定を求めて動き出している。条例案の議員提案を視野に県議会への働きかけも始めた。このような目的の条例は、都道府県では千葉、北海道、岩手、熊本で成立しているが、宮崎県は「国の動向を注視していきたい」と話し、自ら条例案を出すことを検討するといった前向きな姿勢は示していない。

  「障害のある人が暮らしやすい地域づくりを自分たちの手で作りたいと思ったんです」――。8月7日、「全国肢体不自由児・者父母の会連合会」の清水誠一会長が宮崎市の宮崎身体障害者福祉会館でこう訴えると、勉強会に出席した約80人がうなずいたり、メモをとったりして聴き入った。

  清水会長は前北海道議。道議時代に「北海道障がい者条例」の制定にかかわった一人で、条例づくりから条例の特徴、条例施行後の動きなどを紹介した。

  同条例は超党派の議員提案で成立し、2010年4月に本格施行された。障害のある人への虐待や差別を禁止し、学校や職場などで障害のない人と同等の日常生活や社会生活が営めるよう、道と道民に努力義務を課している。

  また、指導しても改善されない虐待や、障害のある人の権利に重大な支障を及ぼすケースについては、知事が勧告することができ、それでも改善されない場合は、勧告内容を公表することができるという。

  勉強会を企画したのは、「障害者差別禁止条例制定をめざす宮崎世話人会」(永山昌彦代表世話人)。参加者の一人は「こういう条例が宮崎にもできたら、生活が保障されるようになると思う」と述べた。

  永山世話人は、障害のある人が障害のない人と同等の生活を営むために必要な「合理的配慮」について言及した「障害者権利条約」が06年に国連で採択され、その後、千葉県で全国初の条例ができたことを受け、「宮崎でも」と08年に世話人会を設立。以来、毎月勉強会を開いてきた。

  活動の一環として、09年に複数の関係団体などに、障害のある人が実際に体験した「差別と思われる事例」を募ると、「車いすでタクシーに乗ろうとしたら『トランクが汚れる』と言われた」など、275事例が集まり、条例の必要性を一層感じるようになったという。

  そして、県議会に対し、「先進する道や県の条例について話す機会を設けてほしい」と要望。今年5月には、県議会自民党の厚生部会のメンバーが勉強会を開くまでに至った。条例案が議員提案されるかどうかはまだ分からないが、同会派には、「一緒に学びたい」との声が他会派からも寄せられているという。

  国は現在、障害のある人に対する差別を禁止し、被害を受けた場合の救済を目的とする法案を検討している。しかし、永山世話人は「法整備を待っているのではだめだ。障害に対する知識や障害のある人への理解を深めてもらう活動を積み重ねることが大事。議員の力も借りて条例制定に力を注ぎたい」と話している。

  これに対し、県障害福祉課は「障害者差別禁止法(仮称)の制定など国の動向を注視していきたい」と話している。(北村有樹子)

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