大阪頸損連絡会「頸損だより」2004秋(No.91)兵庫頸損連絡会だより ~制度が変える重度障害者の生活~

頸損だより2004秋(No.91)

兵庫頸損連絡会だより

~ 制度が変える重度障害者の生活 ~

兵庫頸損連絡会代表 三戸呂克美

支援費制度が始まり一番喜んだのは重度障害者自身であろう。その次に喜んだのは、重度障害者をケアしている家族や周りの関係者だろう。その次に喜んだのは、仕事が無かった人かもしれない。その次に喜んだのは・・・と、多くの人が関り喜ぶ人が増えているのに今見直そうとされている。その理由も財源が無い、というだけである。支援費制度が始まった昨年の4月、多くの重度障害者が申請をした。その結果、地域格差が浮き彫りとなった。問題点も出ている。制度開始前に国が出した時間の上限問題が懸念されていたとおりに進んでしまい、今も尚且つ減らされているところもあると聞く。しかし、上には上があるもんで、制度さえ知らない役所の担当者がいるという。その自治体では申請者ゼロだそうだ。申請者がゼロといっても対象者がゼロということではないだろう。そんな、こんなも含めての見直しであればいいがそうでもなさそうである。

介助の仕事につき、収入があり、という事から経済が上向いているのもあながち支援費制度が関係していないとは言えないだろう。支援費で国が出したお金が200億を超えていると言うが、利用者がポケットに持っているわけではない。勘違いが生じる原因もここにあるのだ。経済効果・・・例えば、ヘルパーの資格をとり訪問介護員として事業所に登録する。そして在宅生活をしている重度障害者の支援費制度利用者宅で仕事につき得た収入で物を買う。これって生きたお金の使い方ではないだろうか。福祉は金がかかるといわれるが今に始まったことではない。そのつど新しい制度が出来また消え、と繰り返している。その背景には戦争と経済の浮き沈みがある。このたびの支援費制度も現在の社会情勢にもてあそばれているのかもしれないが、ここは我々当事者が力を合わせて守り抜かねばならないだろう。


『ヘルパーと支援費制度』

関西福祉大学 長野範子 

私にとってホームヘルパーの仕事から学ぶことはとても多い。障害者の方へのホームヘルプサービスは、100人いたら100通りの支援があるといわれているほど個別性が高い。その分、ホームヘルパーの力量が試されているようにも感じるが、まったく同じ支援が存在しないと考えると面白い仕事だとも思う。

2003年からの支援費制度により措置から契約へ変わり、障害者の方が自らサービスを選択していくようになったが、ホームヘルパーは利用者の意思および人格を尊重して、常に利用者の立場に立ったサービスの提供に努めることになっている。ホームヘルパーの仕事は身体介護、家事援助、移動介護、日常生活支援と、支援費制度の中では区分されている。まず、日常生活の基盤を支えることは基本であるが、障害者ホームヘルパーにとって障害者の方の社会参加、自己実現への支援も重要であると思う。人間にはいろんな価値観を持つ人がいるけれど、町に出ていろんな空気を吸い、情報を発信、受信し、社会を動かしていく。そんな障害者の方の姿に影響され、私はますます障害者ホームヘルパーとして役に立ちたいと思う。

支援費制度が始まって一年と少ししか経っていないが、介護保険制度との統合問題が浮上していることを知った。支援費制度の導入の際もサービス提供時間の上限問題等でばたばたとしていたように思えたが、支援費制度は二年で介護保険制度と統合されてしまうかもしれないと思うと、障害者の方が早く落ち着いて生活できるような制度にまとまってほしいと思う。今後、障害者福祉の分野でどのような制度にまとまっていくのかは不安だが、障害者の方の社会参加、自己実現への支援、利用者の立場に立ったサービスの提供ができるように、共に学ばせていただき支援していきたいと考えている。


≪施設生活の現状報告≫

(兵庫県内の施設入所中) 匿名希望

私は身体障害者療護施設に入所し約3年が経ちます。身体障害者療護施設とは在宅で生活するのが困難な重度障害のある方が介護を受け安心した生活を過ごす所です。

大まかではありますが私が約3年生活をしてきた療護施設についてお話させていただきたいと思います。まず入所者は50名おり、ショートステイで利用されている方もおられます。入所されている方の年齢は18歳から65歳までと広く先天性の障害の方や中途障害の方と障害もさまざまです。老若男女が揃いとても個性豊かな施設です。食事は朝・昼・夕食、食堂でみんな揃って食べます、体調を崩した方は居室で食事を取るので1人の顔が見えなくなるとみなさん自分の事のように心配し声を掛けてくれます。

また施設では年間行事として様々なイベントを利用者と職員が意見を出し合い企画し行っています。この時期だと花火大会などがあり私たち利用者にさまざまな工夫を凝らし綺麗な花火を見せてくれてとても楽しませてくれます、この他に勿論外出等さまざまなイベント、旅行などもあります。

やはりあくまでも団体生活なので面会、外出など自由ですが大変沢山の決まり事があります。すべての利用者がそれを正確に守っているからこそみなさんが楽しく毎日を過ごして行けているのだと思っています。

今年の4月から自治会が設立され施設を良くしようと言う話し合いも頻繁に行われるようになりました。自治会ができてこの施設も今よりもよりよくなることだと思います。

ここで少し自分自身の事を書かせてもらいますと、在宅では健常者の中に障害のある自分が居てと同じ境遇を持つ人が近くに居なかったので施設に入所して他の利用者の方との交流を通じ沢山の事を感じられますしいろんな事を学べます。とくに自分のすべての事に対する考え方が変わってきたと実感しています。

最後に療護施設の良い所ばかり書かせてもらいましたが、私も含め全ての利用者がこの施設での生活に満足しているか私にはわかりません。1人1人違う考え方があるのですから当然の事だと思います。

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