大阪頸損連絡会「頸損だより」2008夏(No.106)兵庫頸損連絡会だより ~全国総会大阪大会終わる~

頸損だより2008夏(No.106) 2008年7月26日発送

兵庫頸損連絡会だより

~全国総会大阪大会終わる~


去る、5月10日、11日の二日間にわたり全国頸損連絡会総会が大阪のど真ん中で開催された。今大会の参加人数は今までの記録を塗り替える盛大なものであった。内容等の詳細については大阪支部の報告を待つとしてちょっと短い全国総会四方山話をしてみよう。

私の記憶が正しければ、大阪での総会開催は4回目になる。全国総会が東京で毎年開催されていたとき、東京から出てどこか違う場所で開催しては、という声が上がり始めていた。そして引き受けたのが1990年5月に開催を決めた大阪頸損連絡会である。今は、各支部持ち回りのようになっているがこの形が取れるようになった元はといえば大阪から始まったのである。しかしスムースに事が運ぶとは誰もが思っていないし認めてもいた。

今回の大会準備においても、シンポジウムの会場探し、宿泊のホテル探しに奔走された赤尾会長だが、しかし、あえて苦労を買ったのは赤尾会長のみ知る伏線があったのかもしれない。なぜなら今回の準備の苦労を考えればビッグアイに決めれば何の心配もする必要がないぐらいである。

さて、話を戻そう。最初に引き受けたときまず宿泊場所をどこにするの、総会場所をどこにするの、全くの手探り状態である。そして何よりもお金が無~い。無いものばかりでよく引き受けたものだ。何も知らないということほど強いものはない。かえってそれが実行委員の力が結集することになる。結局、長居身障者スポーツセンターを宿泊場所にして、2階講習室に布団を敷き修学旅行の雑魚寝状態、翌日はその布団を片づけて総会会場とした。もちろん、ホテルを希望する人には斡旋する道も残した。

当時は全国総会といえば東京であり、東京に行くことが自立しているという証になっていたような時代。そして、そんな時代の自立といえば今の一人暮らしを他人介助で、という自立とはほど遠いものであり、ボランティアを求め、一緒に外出するぐらいの状況を思い描いてほしい。電動車いすで参加している人は少なく、自家用車で運転して参加するレベルの人が多いぐらいだった。兵庫からは坂上、三戸呂が参加していた。坂上はまだ学生であり若さがあふれていた。(今はおっさんになっているが)。そして坂上は常に単独での参加で東京での介助はボランティアに依頼し入浴もしていたと思う。状態としては重度なクラスに入る電動車いす使用の坂上だったが、しかし、今はどうだろうチンコントロールの電動車いすに乗っている人が当たり前で、人工呼吸器使用者も当たり前になってきている。これら頸損連絡会会員の変遷は先人達の障害者自立運動の成果であり歴史である。

今回の全国大会は盛況に終わったが我々の活動はここから新たに始まる。兵庫頸損連絡会が求めるものは、どんなに重度の障害があっても人間として自分の意思で生きて行くことができる社会である。しかし、自分好き勝手に生きて行くということではない。中には間違った解釈をして生きて行こうとする人もいるが人間としての看板を背負う限り障害があろうとなかろうと社会のルールは守らなければならない。頸損連絡会の大きな指針はセルフヘルプ活動である。セルフヘルプ活動無くて当事者運動は発展しない。

大会中にも配布したが兵庫頸損連絡会設立5周年誌ができた。編集長の桜井が心血を注いだ立派な記念誌である。また、昨年開催した「市民公開講座」のDVDも完成した。会員の皆さんにも送ります。これらの物品をセルフヘルプ活動を行うときにツールの一つとして利用されることを望みます。

大会終了後の14日、15日、16日の3日間カナダからのゲストのダンさんたちを兵庫頸損連絡会が御もてなしをすることになり、神戸(ハーバーランド周辺)、姫路城、神戸布引ハーブ園等を案内した。来日してからはかなりハードなスケジュールであったが体調も崩さず20日無事成田空港から帰路に就いた、と東京支部から連絡をいただいた。

今回の兵庫頸損だよりは、総会四方山話から入ったが、イベントの規模にかかわらず開催するための準備には大きなエネルギーがいる。多くの人のご支援、ご協力、そして当事者の積極的な動きがあって初めて成功するものと思う。赤尾会長が、ビッグアイを選ばず大阪のど真ん中を選んだのは重度の障害があってもこれだけのことができるのだ、というメッセージを送りたかったのではないだろうか。反省する点は多いかもしれないが、克服した点も多いはずである。まさに、「一人じゃないよ!」のテーマフレーズが生かされた大会であった。

(文責:三戸呂克美)
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