神戸新聞より
障害者への差別を禁止する県の障害者権利条例をつくるためのワークショップが9日、三田市のまちづくり協働センターであり、当事者や支援者ら約70人が参加した。「通勤ラッシュの時間に電車に乗らなくても、と言われた」「子ども扱いされた」…。これまでに差別を感じた体験を挙げながら、意見を交換した。
障害者による運営で、障害者にサービスを提供する「自立生活センター」の全国協議会が主催。2006年に国連で障害者の権利条約が採択され、その理念を基に千葉県や北海道、岩手県で条例が制定され、各地で機運が高まっている。
兵庫では、三田をはじめ七つの自立生活センターなど計約10団体が09年から勉強会を重ね、ワークショップは西宮や神戸、姫路などで催し、三田が6カ所目となった。
冒頭、西宮市の障害者団体「メインストリーム協会」の佐藤聡事務局長(43)が講演。障害について「個人に原因を求められるが、健常者が階段があるから上階へ行けるように、障害者もエレベーターがあれば、難なく上がれる。『合理的配慮の欠如』で、障害は社会の問題」と強調。「条約の理念はその格差を埋めること」と訴えた。
グループ討論では「障害を理由にスポーツクラブの入会を断られた」「美容院で後回しにされた」などと体験を語り合った。佐藤事務局長は「体験を振り返ることで意識を高め、多くの事例を集めて条例制定への働きかけの資料にしたい」と話していた。
(松本寿美子)
(2011/01/10 09:00)