「縦横夢人」2020年秋号(No.30)2020年11月16日発行
活動報告
第22回兵庫県総合リハビリテーション・ケア研究大会
橘 祐貴
10月4日(日)に兵庫県民会館けんみんホールを会場に、兵庫県リハビリテーション協議会が主催する、第22回兵庫県総合リハビリテーション・ケア研究大会が開催されました。今回は『本人の「したい・やりたい」を最期まで支えるために~介護・終末期のリハ・ケアを考える~』をテーマに「終末期・介護期におけるリハビリテーション」について発表がありました。今大会は新型コロナウイルスの感染対策で会場参加の他にwebでの参加もでき、兵庫頸髄損傷者連絡会のメンバーも多く参加し、私もwebで参加しました。
午前の部では大会長の柳氏の講演がありました。日本では、多くの人が病院で最期を迎えていますが、自宅や老人ホーム等で最期を迎える人も徐々に増えている傾向にあり、在宅死を支える病院や診療所も増えつつあるそうです。万が一の時に備えて、自分自身が大切にしていることや望み、どのような医療やケアを望んでいるかについて、自分自身で考えたり、信頼する人たちと話し合ったりすることをACP(アドバンス・ケア・プランニング)といい、厚生労働省も終末期の選択を明確にすることを勧めているそうです。
講演の中では、豊岡市での終末期のケアの取り組みについて紹介がありました。豊岡市は在宅で最期を迎える人の割合が同じ規模の都市の中で全国一だそうで、その理由として内科医の開業医の約9割が訪問診療を行っていることや、訪問看護ステーション等が充実していることがあげられる一方で、地域の病床数が少ないために長期の入院ができないという事情もあるそうです。在宅で看取った遺族を対象にした調査では満足度が高い人が多かったそうですが、自分の時にも在宅で最期を迎えたいと思っている割合は多くなく、その理由として家族の負担があげられるとのことでした。より多くの人がACPを実現するためには、どの場であっても「最後まで本人のしたい・やりたい」を支えることのできる環境の整備をリハ職等の専門職に担ってもらいたい、と提言があり午前の講演は終了しました。
午前の講演を聞いてみて、「もし自分が最期を迎える時にはどうしたいだろう?」と考えてみました。自分の中ではあと 40年くらいはまだ元気でいるつもりではありますが、人生どうなるのかはわかりません。もし長生きできたとしても、そのころには少子高齢化がますます進んでいて、生活を支える介助や看護に携わる人も今以上に少なくなっているでしょう。そうなった場合に果たして現在の生活スタイルを維持できるのか、不安はあります。まだ元気でいるうちは在宅で生活をしたいですが、介助者の確保ができなくなったり、自分で生活を送るうえでの判断ができなくなったりした場合には、最期を施設で過ごすのも一つの手だとも思いました。自分でできることはなるべくできるようにしたいので、リハビリ職との関わりは続けていきたいと思います。
まだまだ実感のわかないテーマではありましたが、これを機に一度自分がどのような生き方をしていきたいのか考えてみたいと思いました。午後のシンポジウムは残念ながら視聴することができませんでしたが、病院・施設や在宅での看取りについて、それぞれの取り組みについて報告があったそうです。
今回の大会は「終末期のリハ・ケア」がテーマで、自分の中ではまだイメージがしにくい部分もありましたが、自分が最期を迎える時にどんな生活をしたいのかを考えるいい機会になりました。
また、オンラインでの参加が可能だったので、会場まで足を運ぶ必要もなく、週末の介助者の確保が難しい私でも参加しやすかったです。会場へ行くことが難しい人でも参加できる方法として、新型コロナウイルスが収束した後も続けてほしいと思いました。