「縦横夢人」2021年春号(No.32)2021年5月10日発行
活動報告
アクセス関西ネットワーク集会
島本 卓
2020年10月に開催予定だったアクセス関西ネットワーク集会は、新型コロナウイルス感染防止(以下、新型コロナ)と台風の影響により延期となりました。しかし、本年、新型コロナ感染拡大の状況を見ながら、2021年1月9日に、オンラインでの初開催になりました。
私は昨年度の集会で、司会をすることになっていましたが、褥瘡により参加できませんでした。今回、リベンジということで他2名と私の3名で司会をさせてもらいました。毎年多くの参加者が参加する集会ですが、オンライン開催ということもあり、約70名の参加者がいましたが、静かな集会だったという印象でした。
集会の1部では、記念講演としDPI日本会議事務局長の佐藤聡氏に東京からオンラインでお話をしていただきました。講演テーマは「バリアフリー法改正と最近の動き」で、もっとも参加者の注目が高かったのが新幹線のバリアフリーでした。佐藤氏からは、新幹線の問題点として3つ、
①車椅子席が少ない(1~2席しかなく、全長が長い車椅子は乗れない)、②チケットのWeb予約及び購入ができない、③購入時に数時間かかることが挙げられた。また、交渉時の苦労のほか、実際に車椅子で新幹線に乗る実証実験に国土交通大臣と参加された時の内容を話されました。
○ 6席レイアウト提案の車椅子用席の基準。
・IPCアクセシビリティ・ガイド2席(1編成)
・EU基準全長300mを超えるもの4席
○諸外国の高速鉄道
・フランスTGV4席/1018席
・ドイツICE・4席/830席
・イギリスユーロスターe3204席/900席
・韓国KTX山川2席・移乗用3席/363席
・東海道新幹線2-3席/1323席
各鉄道で座席の数にこんなに違いがあることに驚きました。
○ 6席提案にあたって、スタジアム総席数の0.5%以上(IPCアクセシビリティ・ガイド)で考えられています。
・東海道新幹線1323席×0.5%=6.7席
・多目的室1席+6席
車椅子席が最大7席に増え、新幹線が乗りやすくなることで、障害者の移動へのストレス減という課題を改善する内容でした。日本が世界基準になったということになります。
2部では、既存ホテルのバリアフリー情報についての調査報告がありました。課題として挙げられたのが、ユニバーサルルームの設置状況がWEB上でわからないホテルがたくさんあるということでした。また、障害者がホテルに宿泊するためにどのような情報を必要としているのかアンケートを実施されていました。アンケートの回答の一部ですが、部屋の入り口の幅、部屋の扉が引き戸であるか、入浴時に必要なシャワーチェアーの有無などがありました。誰が見てもわかりやすい情報があれば、多くの障害者が宿泊をともなった旅行がしやすくなると思いました。
その他の報告では、精神障害、視覚障害の方からホテルを利用する際のニーズについて話されました。
最後になりますが、一人の悩みは、みんなの悩みでもあるはずです。交通アクセスにある課題を出し合いながら、みんなで考え、誰もが使いやすい環境にすることが重要です。
また、新型コロナの影響によって対面での開催が難しくなっている現在、一日も早い終息を願うばかりです。