特集 介助者(支援者)とうまく付き合うために 「縦横夢人」2021年夏号(No.33)

「縦横夢人」2021年夏号(No.33)2021年8月16日発行

特集
介助者(支援者)とうまく付き合うために
-今までの経験談や工夫していること-


介助者(支援者)とうまく付き合っていくために

PDF 介助者(支援者)とうまく付き合っていくために 柏岡

大阪頸髄損傷者連絡会 柏岡 翔太

 まずは簡単に自己紹介させてください。平成元年生まれ、5人兄妹の長男で妹が4人、受賞レベルはC2で高校二年生の時、ラグビーの練習中に受傷し人工呼吸器を使用しています、スポーツは水泳・空手・剣道・ラグビーをやってきました。
あと写真が少なく文字が多くて申し訳ないです・・・笑。

・主な介助者は誰ですか?

 ヘルパーさん、母、妹、が主です。あと訪問入浴の方々、訪問看護の方々、訪問リハビリの方々などもお世話になっております。

・受けている介助の内容について教えてください

 まずは大きく分けると重度訪問介護、訪問看護、訪問入浴、訪問リハビリ、あと訪問診療も受けています。

 重度訪問介護は、月曜日から土曜日の朝の8時半か9時から夜の8時か8時半までヘルパーさんに入ってもらっています。まず母とヘルパーさんに朝起こしてもらうのですが、クッションを挟んで横向きで寝ているのでそのクッションをとってもらって上向きにしてもらいます。それからベッドを起こして朝食の介助をしてもらい、歯磨きをして顔も拭いてもらいます。あとヒゲを剃ってもらったりもしてもらっています。月曜日は週2日の排便処置の日で、座薬も入れてもらいます。その他の日はパソコンをセットしてもらったり、訪問入浴がある日はリビングのテーブルや部屋の車椅子やパソコンを動かしてもらっています。3年前に膀胱瘻の手術をしていてそのカテーテルにもろもろなどが流れを悪くしているときに、カテーテルをミルキングしてもらったり、カテーテルが中に入りすぎていた時にゆっくり引っ張ってもらったりしてもらっています。流れが悪い時は、自律神経の過反射が起こり血圧が上がって頭痛が起こり変な汗をかいたりするので、それらを抑えるためにやってもらっています。あとは夜ご飯を作ってもらい、食べさせてもらって歯磨きや顔を拭いてもらって最後にパソコンをセットしてもらってヘルパーさんに上がってもらいます。夜寝るときは母か妹に鼻マスクに変えてもらって背中や脚にクッションを挟んでもらい、エアーマットを横向きにしてもらって寝ています。

 訪問看護は月曜日と金曜日に2人で来てもらっていて、どちらも1時間ずつで体温と血圧と酸素を測ってもらいます。それから金曜日には排便処置も行います。看護師さんに浣腸をしてもらってから便を出します。便を出すと言ってもなかなか自分で自然に出すことができないので、摘便をしてもらっています。あと月曜日の午後、2週間おきに膀胱瘻のカテーテルを看護師さんに交換してもらっています。これも1時間とっていますが結構早く終わるので残りの時間は看護師さんと喋ったりしています。

 訪問入浴は月曜日と水曜日と土曜日に利用していて、まず看護師さんが体温と血圧と酸素を測って、異常がなければ浴槽を持ってきてお湯をためて行きます。服を脱がしてもらってベッドから2人で僕を抱えて浴槽まで運んでもらいます。浴槽に着いてからは洗顔と洗髪と体を洗ってもらって少し温まってからまた2人で僕を抱えてベッドまで運んでもらいます。この2人で抱えて移動することが個人的にすごいなと思っています。

 訪問リハビリは月曜日と水曜日と金曜日に来てもらっています。大体1時間程度で内容は先生によって少しずつ違うのですが、関節が硬くならないようにストレッチなどをしてもらっています。僕は痙性が強いみたいで先生から1番疲れると言われたりします。笑

 訪問診療は月に一回来てもらっていて、先生とは体調の事だったり、薬のことを話します。その間に、看護師さんは体温と血圧と酸素を測っています。また、コロナが流行っているのでコロナの話だったりワクチンをどうするかという話をしたりしています。訪問診療が終わってから薬局から電話がかかってきて処方された薬を薬剤師さんが家に持ってきてくれます。

・過去を振り返ってみて「こうしておけばよかった」ということはありますか?

 自分一人で行動することができないのに、このケガをしてからの数年間は誰かに何かしてもらうことが嫌で、最低な態度で接していたなと思います。
 初めてヘルパーさんを利用したのは月曜日から金曜日の朝の1時間で、なぜ利用したのかと言うと、その当時1番下の妹がまだ保育園に通っていて母が送り迎えをしていてその間、家に誰も居なくなるのでヘルパーさんに入ってもらうことになりました。
 朝食を食べさせてもらい、歯磨きをしてもらって、顔を拭いてもらうのですが、大体30分位で終わってしまいます。それで、ヘルパーさんから他に何かすることはないですかと言われるのですが、いいですと言って終わらせていました。母が帰ってきてヘルパーさんが帰るときに玄関先で、何もしない時間があるので、その時間に腕や足を拭くのはどうかと母に聞いていました。次の日から腕や足を拭いてもらうことになるのですが、痙性が起こるので嫌々な態度で受けていました。ヘルパーさんに入ってもらっている間、喋るのが嫌で「はい、そうです、いや、違います」くらいしか言っていなかったと思います。ヘルパーさんは一生懸命喋ってくれているのに、本当に最低な奴だったなと思います。まだこの障害を受け入れられていないとはいえ、もう少し相手のことを考えて行動すれば良かったと思います。

 あと自分のこの身体の状態を見て「色々と言わなくても分かるやろ」と思って接していました。それも良くなかったなと思います。

・介助を受ける上で何か工夫していることがあれば教えてください

 当たり前のことですが、自分のしてほしいことをしっかりと伝わるまで説明をすることですね。新しいヘルパーさんが同行で入るときは大体の流れは引き継いでくれるのですが、細かいことですが、食介のときにこうしてほしいとか、歯磨きのとき奥歯までしっかり磨いてほしいとか、上半身の位置をもう少し右の方にしてほしいとか、その様な細かなところを伝えることも大事だと思います。

・これから介助を受ける後輩頸損者へのアドバイス

 これも当たり前ですが、介助してくれる方々や関わってくれる方々に感謝を忘れないことが大事だと思っています。僕のように全て介助してもらわないといけない方、自分で何かするのがなかなか難しい方、いろんな状態の方がいると思います。初めのころは最低な態度で接してしまっていましたが、今は感謝を忘れずに日々を過ごせているのではないかと思っています。僕たちを支援してくれる方々は本当に貴重で、これから大変なことも起こると思いますが自分の人生をしっかりと生きていきましょう!

・これからどのような生活を送りたいですか?今後の目標があれば教えてください。

 現在、実家で生活をしているので実家を出て一人暮らしをしたいなと思っています。一人暮らしをするにあたっていろんな壁があるのですが、まずは介護の問題です。僕の場合24時間の介護が必要になってくるのですが、これは行政に交渉していかなければならないという問題があります。もし24時間介護が通ったとしてもヘルパーさんの確保、特に夜間に入ってもらうヘルパーさんの確保が難しいという問題もあります。仕事の事だったり、物件の事だったりまだまだ問題が残っています。これらの問題を一つ一つ負けずにクリアしていきたいと思っています。


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