「縦横夢人」2021年秋号(No.34)2021年12月6日発行
会員報告
第23回兵庫県総合リハビリテーションケア研究大会
橘 祐貴
8月8日に兵庫県民会館けんみんホールを会場に「第23回兵庫県総合リハビリテーションケア研究大会」が開催されました。昨年に続いて今年も現地参加とオンラインのハイブリッドでの開催で40人ほどの参加があり、私もオンラインで大会に参加しました。
今回の大会のテーマは、「コロナ禍が我々の生活にもたらしたもの~障がい当事者の目線から考える~」でした。新型コロナウイルスによって私たち障害当事者の生活がどのような影響を受けたのか、この1年間に感じたことについての総括でした。開会式後の午前の部では、神戸市医療センター中央市民病院リハビリテーション技術部の本田明広氏による特別講演がありました。中央市民病院では早い時期からコロナ患者のリハビリに取り組んでいて、現在はリハビリ方法が大分確立されてきているそうです。もし感染しても軽症・中等症の場合は適切なリハビリを受けることで発症前の状態まで回復する人が多いということも話されていて、徐々にではあるものの治療方法が確立されつつあることに希望を持てました。その一方で、重症患者の場合は感染前の状態まで回復していないということも話されていて、呼吸機能の弱い頸髄損傷者は感染しないことに越したことはないなとも感じました。
昼休憩をはさんだ午後の部の前半では、「コロナ禍における生活への影響の実態調査アンケート報告」がありました。このアンケートはコロナ禍によって重度障害者の生活がどのように変わったのかを調査する目的で行われました。アンケートからは新型コロナウイルスの感染拡大前と比べて外出の回数が特に減少したことがわかりました。また直接相手と会っての交流が減少して、オンラインでの交流が増えていました。オンラインでの交流が増えているのは頸髄損傷者に限ったことではありませんが、頸髄損傷者の場合は新型コロナの感染拡大の前からオンラインを活用していたという点は注目できると思います。私の場合も数年前からオンライン環境は整えていたので、コロナでオンライン会議が増えた時もそれほど戸惑いませんでした。むしろオンライン会議が増えたことで、わざわざ現地まで行かなくとも自宅から参加できるようになって、気軽に参加できるようになったというメリットを感じています。その一方で、外に出かける機会が少なくなったことによる体力の低下を感じている人が多くいることもわかりました。私自身もこの1年間の外出は近場の店で食料品や日用品購入するか通院ぐらいです。たまに電車を利用して出かけるとかなり疲れるようになり体力の低下を感じています。なかなかコロナの収束が見えない中で気分が落ち込んだりした人も多いということもわかりました。実態調査の結果は今号の特集で詳しく取り上げています。
午後の部の後半では「コロナ禍が我々の生活にもたらしたもの」というテーマで兵庫頸髄損傷者連絡会、兵庫県介護支援専門員協会、兵庫県介護福祉士会によるシンポジウムが行われ、兵庫県頸髄損傷者連絡会からも3名がパネリストとして登壇しました。シンポジウムの中では、自分が感染していなくても周りの人で感染した人がいたことでデイサービスの通所を断られた話しがありました。私はそのような経験はありませんが、もしも感染したり濃厚接触者に認定されたりした時に利用しているヘルパー事業所すべてが今までどおり来てくれるかという心配はあります。万が一介助者が確保できなくなった時に、例えば一時的にどこかの施設に避難できる体制が確立されると、今後再び感染症が広がった時に安心できるのでいいなと思いました。
昨年度に続いて2年連続のオンラインでの参加になりましたが、新型コロナのリハビリテーションについてやコロナ禍の実態調査の報告を聞くことができ、参加した甲斐があったと思います。来年はコロナが収束して現地参加ができるようになることを願っています。