特集 身近なバリアフリー 明石市合理的配慮助成制度を活用した店舗事例  「縦横夢人」2022年冬号(No.35)

「縦横夢人」2022年冬号(No.35)2022年3月7日発行

特集
「身近なバリアフリー」

-バリアフリーの事例や課題について考える-


明石市合理的配慮助成制度を活用した店舗事例

PDF 明石市合理的配慮助成制度を活用した店舗事例

米田 進一

 2016年に施行された「障害者差別解消法」。未だに民間事業者に対して合理的配慮の提供は「努力義務」に留まっている為、障害のない人と同様のサービスを受ける事が出来ず、諦めなければいけない場面があります。
 私が住む明石市は、同年から全国では初となる「明石市障害者に対する配慮を促進し、誰もが安心して暮らせる共生のまちづくり条例」に根拠となる条文を作成しました。これによって民間の商業者や地域の団体が、障害のある人に対して必要となる環境整備に掛かる費用(最大で20万円)を補助する制度を導入しました。
 今回、明石市独自の差別解消法における合理的配慮について、助成金を受けた2店舗について検証する為、調査を行いました。諸事情で私は現地を見た訳ではありません。介助者に委ねた調査内容を基にご紹介致します。

○「明石夢工房」西明石店

住所   〒673-0015 兵庫県明石市花園町3-13
TEL   078-929-1188
営業時間 11:00~21:00(L.O.20:45)
定休日  火曜日(臨時休業有)

 JR西明石駅から東に徒歩で5分移動すると、国道2号線沿いに「明石夢工房」さんがあります。お店の一番人気「福玉」、定番商品でふっくらとした「あかし玉子焼き」、お昼時や夕方に購入客が多くなるそうです。こちらではポータブルスロープ(以下、スロープ)、筆談ボード、点字メニューの3点を、市の制度で購入されていました。
入口に階段がある為、一見すると車椅子は入店する事が出来ないと思われがちですが、店内で飲食する事も可能です。ドア幅は90cmでした。スロープ板は歩道の一部を占領する為、常時設置している訳では無く、店内へ入退店の際のみ設置してくれます。自力で上れない時は店員さんが手伝ってくれるので、こういった配慮は嬉しいですね。


ポータブルスロープを設置

 私の車椅子のサイズを計測した所、全長120cmだったのですが、それをベースにすると店内は支障無く入れそうで、カウンター席も椅子を避ければ、2台くらいは前向きに入れそうとの事でした。


店内の様子

 メニューには点字メニュー表記もあり、視覚障害者にも配慮がされています。店内奥には筆談ボードもあり、コミュニケーションツールとして活用されているとの事です。駐車場は50メートルほど離れた場所にあり、1,000円以上購入すれば割引券を発行して頂けます。

○「さぶちゃん」

住所   〒 674-0067 明石市大久保町880-1
TEL    078-920-9255
営業時間 月火水金 11:30〜21:00
     土日祝  11:00〜21:00
     (L.O閉店30分前)
定休日  木曜日(現在まん延防措置で休業中)


閑静な住宅地にある「さぶちゃん」

 次にご紹介するのは、JR大久保駅から徒歩14分、山陽電鉄中八木駅から徒歩16分、最寄り駅からは少し距離がありますが、閑静な住宅地の中に「さぶちゃん」さんがあります。


入口に設置されているポータブルスロープ

 入口にスロープ、対話に必要な筆談ボード、トイレの壁には手すりを設置。ドア幅は85cmです。
 いずれも制度を利用して購入された物です。


手すりが設置されているトイレ

カウンター席に設置してある筆談ボードとサーキュレーター

 店内はテーブル席とカウンター席があり、奥は車椅子スペースとなっていて、テーブルの調整次第では3台入れそうとの事でした。お店の売りはやはり明石焼き、個人的に気になるのは「さぶちゃんのおいしい漬け物」。名前が良いですね。
 お店の前に駐車場も完備されていて、宅配もやっているとの事でした。
 今回、営業中でご多忙の中ご協力下さった「明石夢工房」さん。休業中であるにも関わらず調査日に合わせてお店を開けて下さった「さぶちゃん」さん。両店舗ともとても親身にご協力下さり、本当に有り難うございました。
 両店舗とも気になる事はさほど見当たらない感じを受けました。あくまでも事例に過ぎませんが、どの店舗でも気兼ねなく利用し易くなる為に、この様な制度が、全国に適用される事を望みます。

 明石観光協会に2店舗の情報が記載されています。他店情報も、以下のURLでご確認下さい。https://www.yokoso-akashi.jp/eat?tid=2


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