特集 身近にあるバリアフリー 歩道編「縦横夢人」2022年冬号(No.35)

「縦横夢人」2022年冬号(No.35)2022年3月7日発行

特集
「身近なバリアフリー」

-バリアフリーの事例や課題について考える-


「身近にあるバリアフリー 歩道編」

PDF 身近にあるバリアフリー 歩道編

米田 進一

今回の特集である「身近にあるバリアフリー」という事で、どのような観点で書こうと悩みました。外出するに当たり歩道を利用しますが、実家近くの国道2号線やその周辺、様々な場所で、歩道の広さや段差が目立つ事も多く、この視点で書いてみたいと思います。
 まず悪い事例から挙げると、国道2号線は交通量が多いうえ、トラックや重機などの大きな車体とすれ違う事もあり、とても怖い思いをした事があります。交差点によっては写真の様な信号機が設置されている事で歩道の幅が狭くなり、歩行者や自転車がすれ違う時はより慎重に通行しなければなりません。


交差点の写真

 以前から利用し辛いと思っている歩道があり、歩道の幅が72㎝程しかありません。
 私の電動車椅子の幅が68㎝なので、少しの操作ミスで車輪が傷つき、凹凸などがあれば転倒の危険もあります。


自宅付近の国道2号線沿い歩道幅72㎝

 目的地まで、至る所で道を選ばざるを得ない事があります。ガードレールも無く、車道と並行して危険と隣り合わせの場所も多くあります。
 傾斜が酷く車椅子が車道を跨ぐ事もあります。某雑居ビルの入り口に下の写真の様なスロープが設置されていましたが、車椅子でなくても上り下りするのは危ないと思いました。


傾斜が凄すぎるスロープ

歩道がゴミ捨て場になっている

 歩道がゴミ捨て場になっていて、通行に影響する事があります。必ずしもその歩道を通らなければいけないと言うわけではありませんが、この様な場に遭遇すると、憤りを通り越して虚しくなります。近隣住民や歩道を利用する方は、誰も気にしないのでしょうか?またはそれに慣れてしまっているのでしょうか?
 良い事例もあります。駅周辺になると歩道の幅が90㎝位あり、問題なく通行出来ます。段差も解消され車椅子操作もスムーズです。


某大手スーパー手前歩道幅90㎝

 某大手スーパー前の歩道と車道の段差は2㎝程で、段差のある部分は見受けられません。通行に影響するほどではありません。


消防署周辺歩道(幅の広さ130㎝以上)

 明石市消防署本部周辺の歩道はとても広く、幅も130㎝以上あり、前から歩行者や自転車が来ても問題なく通行する事が出来ます。


傾斜や段差が無い歩道

 先程の広い歩道の反対側を見渡すと、一部に段差がある箇所が点在します。車椅子でも衝撃を受けることもあります。この様な交差点は全国どこにでもありますが、夜間や雨降りなど視界が悪い時など、勢いよく路肩に乗り上げると、事故に繋がりかねません。
 段差一つで安全性が大きく違います。誰もが利用する歩道は、生活の中でも欠かせないものです。細心の注意を払いながら使うものではありません。


消防署周辺歩道(段差3㎝)

 近年、明石市は人口増加により、子供や高齢者、障害当事者、ベビーカーやシニアカーといった歩道を利用する人を見る機会がよくあります。
 国内にどれだけ「バリアフリーと言える歩道」が点在しているかは不明ですが、その数千倍、いや数万倍以上に「バリアだらけの歩道」は圧倒的に点在しているのではないでしょうか。
 誰もが住みやすい街とは一体どんなものでしょうか。そもそも誰もがとよく言われますが、本来誰もとは、そこに住んでいる全ての人だと考えます。老若男女、障害の有無関係無く全ての方が対象だと思います。だとすれば、歩道の幅一つとっても若者だけが満足できるもの、ベビーカーを押すお母さんが求めているもの、車椅子を使用する方が満足できるもの、それぞれ違ってくる事があります。
 そういった事を全て踏まえた上で「誰も」が住み易くなる為のまちづくりをしていく事。障壁を作らない事(バリアフリ-)がとても重要な事であり、本来当たり前の事だと私は考えます。


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