「縦横夢人」2022年冬号(No.35)2022年3月7日発行
特集
「身近なバリアフリー」
-バリアフリーの事例や課題について考える-
身近なバリアフリー
橘 祐貴
今回の特集は「身近なバリアフリー」をテーマに、私たちの身の回りにあるバリアフリーについて取り上げます。バリアフリーといってもソフト面からハード面まで範囲は幅広く、どの部分を取り上げるのか迷いますが、道路(歩道)について取り上げたいと思います。
車椅子に乗っていると、交差点の段差のがたつきはとても気になります。特にチンコントローラーの電動車椅子の時は、顎や首に衝撃がダイレクトに伝わり、コントローラーから顎が外れて車椅子が止まってしまうことも時々あります。私が住む地区は阪神淡路大震災後に街びらきしていて歩道も広くて快適ですが、交差点の歩道と車道の間は、現在のバリアフリー規格ができる前に整備されたので段差が大きいため、通行する時の衝撃も大きく、コントローラーが外れてしまうこともあります。後に整備された近隣の交差点は現在のバリアフリー規格で段差が小さく、「自分の地区も早く段差が小さくならないかな」と思っていました。
街びらきから20年以上が経って、ようやく地区内の交差点も改良工事が始まりました。段差が縮小した交差点は通行時の衝撃が少なくなり車いすでも快適です。ところが、1年ほど前に工事が終わったある交差点は、車道のアスファルトとの継ぎ目に小さな段差ができていて、通行する時にガタガタと衝撃を感じます。工事前は段差があることが目に見えていましたが、現在は、ぱっと見ただけでは段差が見えず、段差がないと思い込んで通行すると、不意に衝撃が訪れるので危険です。せっかく段差が小さくなったのに、あと一歩が足らなくて残念に思います。すぐ近くの別の交差点も段差のがたつきはありませんが、何カ月かすると歩道のブロックが浮いてきたのか、車椅子や自転車が通る時にガタつくようになりました。埋め立て地で大型車の通行も多い等、理由はあるのかもしれませんが、改善してほしいなと思います。
工事中の仮舗装もやっかいです。つい最近、最寄り駅へ向かう道でガス管の交換工事が始まりました。歩道にあるガス管を交換するため一部をアスファルトで仮舗装しているのですが、仮舗装の部分が周りよりも少し盛り上がっていて通りにくいです。工事はしばらく続くので、当面は注意が必要です。
遊歩道にあるユニバーサルゲートも車いすには通行しづらい構造物です。最近は電動車いすの操作にも慣れてそれほど苦労しなくなりましたが、初めのころは通過するのに何度も切り返しが必要でかなりの時間がかかりました。バイクの進入を防ぐためだと思いますが、もう少し通行しやすい形状にならないかと通るたびに思います。
今回は道路(歩道)のバリアフリーについて主に取り上げました。誰もが利用しやすい道路になることを期待しています。