特集 身近にあるバリアフリー 交通・建物のバリアフリー調査 「縦横夢人」2022年冬号(No.35)

「縦横夢人」2022年冬号(No.35)2022年3月7日発行

特集
「身近なバリアフリー」

-バリアフリーの事例や課題について考える-


交通・建物のバリアフリー調査

PDF 交通・建物のバリアフリー調査

伊藤 靖幸

 2021年8月29日に「第10回桂む雀フレンドシップコンサート」にバリアフリー調査を兼ねて行ってきました。コロナウイルスの事がありますので、行くかどうかは悩みましたが、出来る限りの対策をして行ってきましたので報告します。

 会場は篠山市田園交響ホールで最寄り駅がJR篠山口駅です。調べたところ私の最寄り駅、三田駅から篠山口駅までは難なく行けますが、そこからはバスです。管轄の神姫バス篠山営業所に問い合わせると「2日前に乗る時間を連絡してくれたら大丈夫です」との返答。「ほとんどのバスがノンステップですので大丈夫です」と言っていたので大丈夫だろうと安心していました。しかし、まさかあんなことになるとは…。
さて、いよいよ当日。雨予報もなく、絶好の日です。予定通り、篠山口駅まで行き、バスターミナルに行くとバスの運転手が待っていました。しかし、あることに気づき「マジかっ」と思いました。それは、歩道と車道に段差が全くありませんでした。バスターミナルで歩道と車道に段差が全くないというのは初めてでした。確かにバスはノンステップでした。が、運転手さんがかけてくれたスロープが短かったため、勾配が大きくなりとても怖かったです。
※乗り込む時に前輪が浮きました。


バスの乗降風景

 バス停から会場まで行く道中にこんな場所がありました。


歩道と車道の段差

 歩道から車道に移動する時に斜めになっているのはよく見るのですが、斜めになっている上に歩道と車道に段差が5cmくらいあり危険でした。大きい電動車椅子のタイヤならなんとか移動できますが、自走・簡易電動車椅子の小さなタイヤでは、移動がかなり危ないと感じました。
 何とか田園交響ホールまで行くことは出来ました。田園交響ホールは、バリアフリーで電動車椅子でも問題なく移動することが出来ます。ただ、ホール内は冷房が効いていて、頸髄損傷の身体では寒かったです。冷房対策として上着を持って行くべきでした。
 地方で公共交通機関を使う場合、避けて通れないのが本数の問題です。1時間に1本、良くて2本。1日に数本しか走ってないことはよくあります。またワンステップ・ツーステップバスで乗車に難があることも多いです。
 日本はまだまだバリアが多く問題になっています。特に地方、この問題は顕著に表れているのではないかと思います。地方のバリア問題は、当事者である我々がもっと声を上げていかないと進まないなと感じました。そんな中でも、新幹線に6席分の車椅子用スペースが出来たことは喜ばしいことでした。


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