【会員報告】「脊髄空洞症レポート」

縦横夢人2011年秋号(No.4)2011年11月1日発行

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 今回は、私の脊髄空洞症の発見から術後、そしてその後の経過の報告をします。
 皆さんは脊髄空洞症を聞いた事がありますか?
 ネットで検索すると脊髄空洞症とは、脊髄の中心部に脳脊髄液(のうせきずいえき)がたまった空間ができることによって、脊髄を内側から圧迫し、さまざまな神経症状があらわれる病気と書いてありました。頚髄損傷の方が受傷後、稀にこの症状になるらしいです。
 皆さんも事故後の後遺症があると思いますが、僕の場合事故により首、顎、目、肩の後遺症が残りました。そして2年半前ぐらいからなんともいいがたい痛みに悩まされる日々が多くなり、眠れない日も多くなりました。その頃から神経の圧迫は始まっていたと思います。
 痛みの原因を調べる為にいろんな病院を回りました。行く先々の病院で痛みの症状を説明しましたが、原因が解からないと言われ、結局辿り着いたのが最初に頚髄の手術を行った病院でした。
 症状を説明すると首のCTとMRIの検査をし、そこで初めて脊髄空洞症と診断されました。私の場合脊髄空洞症という病名にたどり着くのに3年近くかかりました。脊髄空洞症の症状はMRI検査でしか発見できず、首と肩は5回レントゲンを撮影し、頭のMRI検査はしましたが、なぜか首のMRI検査だけはした事がなく発見が遅れました。
 今から思うとその部分が残念で悔やまれます。自分の体は自分で守る意識が大事だと言う事を今まで以上に痛感しました。
 痛みや体調が悪くなるのは自分であって、この痛みを他人にいくら説明しても理解してくれないと言う事です。こんな書き方をすれば誤解されるかも知れませんが、何かあってからは本当に手遅れです。私が言いたいのは事前に防げる事なら事前に防いで欲しいと言う事です。
 情報の共有、情報交換の大切さ、原因の追求心、知っているのと知らないのとでは大違いです。原因が分かれば調べようもあるし、ある程度の対策も考えられます。
 前もって病名の情報があれば、すぐにピンとくる事なのに…。情報などでキーワードを知っているのと知らないのでは大違いです。

※手術にいたる経過

 空洞症の進行が止まっている場合もあるので、進行具合を見た上で よく医師と相談してから手術をした方が良いと思います。
 私の場合、空洞症の進行具合が頚髄の1番~腰椎の3番まで圧迫されていて、これ以上進行して脳に達すると呼吸障害、嚥下障害が起こると言われたので手術の決心をしましたが、首にもう一度メスを入れて神経部分を触ることになる為、危険性の高い手術であることは間違いありません。
 手術をしても治る可能性は極めて低く、症状が進行するのを防ぐ手術だと医師から説明されました。それほど、私の症状は進行していました。この手術の症例は極めて少ないので信頼のおける医師に相談をした方が良いと思います。

○病名および術式

病名  外傷後脊髄空洞症
術式 空洞-脳槽シャント術
首の中に血管のような役割を果たすシリコンチューブを留置して溜まっている髄液を抜いて神経圧迫を和らげる手術です。

○手術内容

1)全身麻酔後、腹臥位で手術を行う。後頭部から頸部にかけて正中で皮膚を切開し、筋肉を剥離して後頭骨と頸椎1,2番の椎弓を露出する。

2)後頭骨の下方を切除して後頭下開頭を行う。また、頸椎1,2番の推弓を必要最小限の範囲で切除する。

3)同部で硬膜を切り開いて、脳槽と脊椎を露出する。脊髄の後面で、空洞のために薄くなっている部分を小さく切開し、チューブを空洞内に挿入する。チューブの他端は、脳槽に留置する。チューブは脳や脊髄を包んでいる膜に可及的に固定する。これらの操作は顕微鏡下で行う。

4)硬膜を縫合し、後頭骨の一部 は除去したままで、筋肉と皮膚を縫合し手術を終了する。

 手術して改善する人もいるらしいのですが、私の場合は変わりませんでした。痛みは改善されず、逆に首の筋肉は前より弱くなってしまいました。落ちた筋肉を少しでも元に戻すために現在リハビリをしています。
 少しの期待はしましたが、最終的に今回の手術は病気が進行しないための手術と割り切りました。私達のように頸髄を損傷している者の場合には、痛みや体の異常がわかりにくく、検査が大変ですが、自分の体を知る上で定期的に血液検査、MRI診断など出来る限りの検査はしておいた方が良いと思います。
 私が言いたいのは事前に防げる事なら事前に防いで欲しいと言う事です。手遅れになるまえに…。
 今回のレポートは個人の意見で書いてあるので参考程度に読んでください。

脊髄空洞症(せきずいくうどうしょう)とは
脊髄の中に液体のたまった空洞ができることによる、脊髄の機能障害のことである。
脳脊髄液の貯留した空洞が脊髄を内側から圧迫するため、様々な神経症状や全身症状をきたす。
原因は不明である。空洞は主に脊髄灰白質に発生し、徐々に周囲に拡大していく。
(ウィキペディアより引用)


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