【会員報告】東京旅行

縦横夢人2011年新年号(No.2)2011年1月1日発行

土田 浩敬

 初めまして。いつの間にか兵庫頸随損傷者連絡会に所属した丹波市に住んでいる土田浩敬(つちだひろたか)と申します。今回は兵庫頸随損傷者連絡会の宮野秀樹さんと家族の介助無しで(当初の目的)旅行へ行った様子等、報告させて頂きます。

 はじめに少し私の自己紹介です。
 2005年秋、21歳のときに高所での仕事中の転落事故により受傷しました。受傷レベルはC4。両手両足は動かせません。利用している車いすは今仙のティルト機能付き電動車いすです。携帯電話やテレビのリモコン、パソコンはマウススティックで行っています。けがをする前、手足がまだ自由だった頃に比べると、もどかしく思うことも多々ありましたが大分慣れました。怪我をしたときは首から下が無くなったかの様な感覚で、でも不思議と冷静に考えることができ、神経を痛めたのだろうなとわかりました。今まで大きな怪我や病気もしたことはなく、もちろん入院や手術も全く無縁の健康体でしたが、緊急ヘリで神戸の災害医療センターへ運ばれました。そのときは“とりあえず早く手術をしてくれ”という思いで先のことはまだ考える余地はありませんでした。少しの時間が経ち、暑さ、寒さ、痛い、痒いがわからなく(慣れてくると体が熱い、寒いはなんとなくわかるようになってきました)手足の動かない体で“この先どうすれば良いのだ”と考える日々もありましたが、最近は少し光が見えて楽しく人生を送りたいと考えるようになりました。

 それでは旅行までの経緯や旅行のこと、旅行を終えての感想等です。
 まずは旅行に行くことになったきっかけですが、頸損連絡会の宮野さんの一言でした。「土田君、10月に東京に行くんやけど一緒に行かへんか?」
 退院して3年目の去年、家族旅行で東京に行き、修学旅行以来の新幹線、たくさんの街の人たち、山手線から少しだけ見えた東京タワー、移動のほとんどが公共交通機関を使って移動。初めてのことがたくさんで刺激を受けたことは1年経っても鮮明に覚えていました。単純に東京へ行きたいなという思いで「僕も行きたいです。」と答えました。
 行きたいとは言ったのは良いものの、まずは介助者を探さないといけません。私は宮野さんが用意してくれると軽く考えていましたが、その考えは甘かったようです。宮野さんが運営しているNPO法人事務所の職員、藤田君が介助の方法等を見学に丹波の私の自宅へ来たときのことです。藤田君が「土田さん、介助者を探さないといけませんね。」「僕も学生ボランティア等いろいろあたっているのですが今回は募集期間も短くて中々集まらなくて…」そりゃそうですよね。初対面の人間と一泊旅行に行くわけで、そんなに簡単に集まるわけがありません。私も学生ボランティアやヘルパーさんに聞いてみたのですが見つからず、当初は家族無しの旅行を考えていたのですが、介助者がいないとはじまらないので2歳下の妹にお願いすることにしました。妹には悪いのですがこれで介助者を確保することができました。東京旅行の約2週間前でした。

 10月某日、出発当日です。

 前日からキャリーバッグとリュックサック、ショルダーバッグに当日必要となるものを少し詰めていました。薬、必要経費、集尿袋、Sカン、ナーセントパット等…。そして当日の朝に車いす用の充電器を詰め込み、忘れ物がないようにリストアップしていた紙を見ながら最終点検。朝早いこともあってバタバタしましたが、9時前、新神戸駅に向けて出発です。
 10時過ぎに駅に到着。宮野さんと合流してチケットを受け取りに駅の事務所へ向かいました。少し時間はかかりましたが駅員さんが丁寧に対応してくださり、ホームへ向かいます。時間通りに新幹線が到着し、駅員さんが用意してくれるスロープで乗り込みました。昼食用に購入したカツサンドを食べながら品川駅まで約2時間半です。新幹線は窓が小さく、また車いすの向きも良くなかったため、景色はあまり見ることができませんでしたが快適に過ごせました。

 品川駅に着きました。
 去年、家族旅行で品川駅へ来たとき、エレベーターまでが遠かったことを覚えています。今回、旅の案内をしてくださる宮野さんの友人、ジョイスティックで車いすを操作する中順也さんと合流です。優しい良い雰囲気のお兄さんでした。

 まずは六本木へ向かい、そこから表参道へ行きます。私が表参道へ行きたかったので、皆さんには悪いのですがお付き合いしてもらうことに。途中、どのような道のりで行くのかと、多少時間はかかりましたが無事に表参道に到着。欲しかったブーツを購入して、単純に嬉しい気持ちで充実感を感じながら表参道を後にし、次は六本木ヒルズで食事です。
 六本木に到着しましたが、六本木ヒルズまでは約700メートルの道のりがあったと思います。道路は舗装が多く、舗装のつなぎ目の段差で体が揺れて思うように前へ進めません。私の小さな車いすでは皆に付いて行くことに精一杯でした。どうにか六本木ヒルズに到着してまず目に飛び込んだのはライトアップされた東京タワーでした。

朱色に幻想的にたたずむ姿は想像しているよりも大きく見えます。皆で記念撮影を済ませた後、食事は森ビル内で中華料理でした。おいしい時間を過ごした後、六本木ヒルズ展望台へ移動。東京の夜景を満喫した後、ホテルのある新宿へ向かいチェックインを済ませて、長かった1日を終えました。ベッドに移るときは午後11時を過ぎていました。
 ベッドに移った後も顔を拭いたり集尿袋を取り付けたり、夜間に飲む水を取り付けたりと妹には迷惑をかけましたが無事就寝。

 2日目。浅草へ向かいます。東京の電車の路線は膨大にありますが、駅員さんが丁寧に案内してくれます。無事に浅草に到着して2日目も中さんの案内で浅草観光です。車いすで地下から地上へ上がるにはエレベーターを使います。当然のことですが、エレベーターは決められた位置にしかなく、階段やエスカレーターを使えないのでエレベーターから目的地までが遠いことはよくあります。今回もそのパターンでエレベーターから目的地までが遠くて皆についていくのに精一杯でしたが、無事にコインロッカーに荷物を預けて浅草寺に到着です。たくさんの観光の人々。日本人に限らず世界各国から老若男女を問わず、たくさんの観光客です。特に仲店通りは余裕を持って歩ける隙間は皆無でした。おもちゃの刀や漢字のイラストが入ったTシャツ、はちまきや扇子といった、いかにも日本らしいお土産がたくさんありました。人形焼きやせんべい等のおいしそうな誘惑もいっぱいでした。

 昼食を食べようということで中さんが調べていてくれたお店を探すことに。私たちにおいしい食事をといろいろ探し回ってくれていた中さんですが見つかりませんでした。ですが、仲店の屋台で食べた焼き鳥やもつ煮、おでんもとてもおいしかったです。中さんありがとうございました。寒かった体も温まり、浅草寺や仲店でお土産を購入して帰路の新幹線の時間に間に合うように品川駅へ向かいます。無事に新幹線に乗り込み、1泊2日の旅も終わるのかと思うとほっとしました。新神戸駅へ到着して東京旅行も終了です。
 今回は宮野さんの介助の藤田君、たくさんお世話になりました。ありがとうございました。出発前の準備や新神戸駅まで送ってくれた両親、旅行の付き添いで来てくれた妹にも感謝します。長距離の移動と長時間車いすに乗り疲れましたが、自分の知らない土地へ行って、いろんな人に出会い、おいしい食事もできて楽しかったです。新しい試みは自分の自信にもつながることではないかと思います。また良い機会があれば、これからもいろんな所へ行ってみたいです。

 以上で今回初めての報告を終わります。ありがとうございました。

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