「縦横夢人」2019年春号(No.24)
特集 褥瘡
褥瘡〜私なりの予防方法〜
土田 浩隆
はじめに
こんにちは。今回の特集は「褥瘡」についてです。今号を読まれている方の中にも、褥瘡になったことのある方は多いと思います。頸損にとって褥瘡はとても身近な存在です。これまでの経験と予防を私なりの方法ではありますが、皆さまにお伝えしようと思います。
褥瘡とは
頸損者の褥瘡は長時間車椅子に乗り続けることにより、座面下の臀部を圧迫することで、皮膚下の血流が滞り、栄養が行き渡らなくなった皮膚組織が壊死していくことをいう。主に仙骨や座骨部に出来ることが多い。他にも、後頭部、肩甲骨、腸骨、踵など比較的、肉が薄く骨の出ている場所に見られる傾向がある。
初めての褥瘡
初めての褥瘡は受傷後すぐの入院中で、仙骨部に出来ました。その頃は褥瘡といわれても何の知識もないので、まるで他人事のような感覚でした。表面だけで500円大くらいの大きさの褥瘡で、1ヶ月ほどで治りました。
続く仙骨の恐怖
退院後は大きな褥瘡は出来ませんでした。その頃の私は、チルト機能を搭載する電動車椅子に乗って日常生活を送っており、クッションはロホクッションを使用していました。身長176センチで体重58キロの痩せ型体型で今とは全然違います(ちなみに現在、身長176センチ体重75キロ)12時間以上車椅子に乗り続けると、仙骨部に小さな発赤が出来て、放置すると浸出液が出始めます。それほど酷くはなかったのですが、早目にベッド上で除圧して、大きくならないように気をつけていました。知り合いの方の体験談をよく聞かされていたので、仙骨部に発赤が出来る度に怖くて、出来るだけ早く完治させるようにしました。
地域暮らしと体型の変化
私は2012年から、地域で一人暮らしを始めました。一人暮らしを始めて、食生活の変化と並行するように体型も少しずつ変わっていきました。母親の作るご飯を食べていた頃は、品数が多くて少しずつ食べていました。一人暮らしを始めて品数が少なくなり栄養も偏ったのでしょう。また残り物がもったいないということで、たくさん食べたり、外食も実家で暮らしていた頃に比べて増えたので、みるみる成長して7年で15キロも増量してしまいました。体重の増加によって、座骨部にも褥瘡が出来るようになって、悩みのタネでありました。
褥瘡と絆創膏
座骨部に頻繁に擦れたような傷が出来るようになって、どうやったら防ぐことが出来るか考えたあげく、仙骨部と座骨部にアズノールを塗布し、その上から大きめの絆創膏を貼って保護することにしました。絆創膏の粘着部で皮膚が荒れる恐れもあったのですが、長時間貼り続けても大丈夫でした。アズノールで皮膚を保湿し、その上から絆創膏で保護することによって、傷が出来にくくなりました。もしも傷が出来た場合でも、絆創膏に浸出液が付くのですぐにわかり、対処しやすくなりました。
まとめ
今のところこの方法で、3、4年褥瘡が出来ていません。私にはこの方法があっているのかもしれませんが、今後年齢を重ねて体質も変化するのに合わせて対応する必要があると思います。また、この方法は個人差があると思いますので、全ての人にオススメはしません。自分の身体を把握しつつ、褥瘡が出来る前に予防することを重視して、頸損ライフを充実させていきたいと思います。