会員報告 慶良間諸島ダイビング 「縦横夢人」2019年夏号(No.25)

「縦横夢人」2019年夏号(No.25)
会員報告

慶良間諸島ダイビング

PDF 慶良間諸島ダイビング

橘 祐貴

 7月6日から 9日までの4日間、沖縄県・慶良間諸島をダイビングで訪れました。昨年の宮古島は現地まで行ったものの、出発直前に発生した台風の影響で海に潜ることができず、今回は2年ぶりのダイビングでした。
 いつもお世話になっているオーシャンゲートジャパンのSさんからツアーのお誘いをいただいたのは 3月頃でした。今まで石垣・宮古・西表を訪れていますが、慶良間は今回が初めてでした。慶良間諸島は2014年に国立公園に指定されていて、「ケラマブルー」とも呼ばれる世界でも有数の透明度を誇るサンゴ礁の海はダイバーの人気が高いそうです。


慶良間諸島の地図

 座間味島に行くにあたり気になったのは、「現地がどのくらいバリアフリーなのか?」ということでした。島への高速船は車いす対応なので大丈夫そうですが、宿泊するホテルのホームページを見ると、「近代設備を整えたホテルではございません」という何とも恐ろしい注意文が …。インターネットに投稿された画像を見ても、建物入口や客室のユニットバスに段差があり、対策を考える必要がありました。また離島なので、万が一紙パットや携帯トイレ類が足りなくなっても現地で調達することは難しく、いつもより多めに持っていくことにしました。
 7月6日の朝に伊丹空港を出発し、飛行機で那覇空港へ。梅雨明けしたはずの沖縄は戻り梅雨で雨でした。座間味島への船が出ている泊港はモノレールの最寄り駅から15分近くあり、バスも車いすが利用できる車両がいつ来るのかわからなかったので、ワゴンタクシーに車いすを積み込んでの移動となりました。
 泊港で乗船手続きを済ませて高速船「クイーンざまみ」に乗船。客室が岸壁より低く、乗船時は船内エレベーターを使用しました。乗船中は車いすのままでもよかったのですが、「揺れるのでできれば座席に移って欲しい」と言われたので座席に移りました。天気が悪いせいか航行中はまあまあ揺れました。座間味島では浮き桟橋に到着したためエレベーターが使えず、船体側面の段差のある入口から数人がかりで車いすを担いでもらって下船。電動車いすで利用するのはちょっと難しいなと思いました。


高速船「クイーンざまみ」

車いすを担いでもらって下船

 港からホテルまでは徒歩数分とすぐでしたが、予想通り建物の入口が階段で車いすを担いでもらいました。客室は車いすでも問題なく入れましたが、ユニットバス入り口の段差はやはりかなりありました。ただ朝食と夕食が付いていたので、食事のために外に出かける必要がなかったのは助かりました。離島のホテルですが、外国人旅行客も何組かいたのにはちょっと驚きでした。


ホテルの入口は階段

客室の様子

 夜が明けたダイビング1日目もあいにくの雨でした。ホテルから徒歩数分の港よりダイビングボートに乗船しました。以前、ボートが小さかった時には、床にマットを敷いて横になったまま移動しましたが、今回のボートは比較的広く、板張りの床のネジでけがをする恐れがあったので車いすのまま乗ることにしました。もちろん船に乗り降りする際には数人がかりで車いすを担いでもらう必要があり、毎回大仕事です。


車いすのままボートに乗船

 港から出航して数分で最初のダイビングポイントに到着。久しぶりのダイビングだったので水深数メートルの比較的浅い場所で潜りました。私が潜るときはパートナーのダイバーに抱えてもらいながら潜ります。パートナーからは私の表情が見えないので、耳抜きができたかどうか等の意思表示は首を振ることで示します。フルフェイスのマスクなのでレギュレーターをくわえる必要はなく呼吸は楽です。久しぶりのダイビングなので耳抜きを頻繁に行いながら潜りました。


フルフェイスのマスク

潜っている様子

 海に潜るといきなりウミガメと遭遇!かなり近くまで接近しましたが逃げることもなく、おかげでいい写真が撮れました。ほかにもハリセンボンやクマノミなど1本目から様々な生物を見ることができました。あいにくの雨で船にあがると身体の震えが止まらず、船長さんが気を利かせてくれてお湯をかけてくれました。おかげで震えは止まりましたが、車いすのクッションはびしょ濡れ…。ビニールで覆っておくべきでした。いつもは 1日に潜る本数は 2本ですが、今回は3本も潜ったのでかなり疲れました。ただホテルに出入りするたびに車いすを担いでもらわないといけないので、夕方まで潜っていて逆に良かったです。


ウミガメに接近!

ハリセンボン

 ダイビング2日目も曇っていましたが、雨は降っておらず、時折雲の間から陽も差していました。曇りでも透明度の高い慶良間の海ですが、日差しのある時は明るさが増してよりきれいに見えました。この日の最後に潜った場所は最近水族館で人気のチンアナゴのいるポイントで、私の目の前にもいたそうですが、裸眼視力が0.1以下の私には海底の砂と同化してしまい気付かず…。フルフェイスのマスクのゴーグルには度が付いていないんです…。それでもサンゴに群れる色とりどりの魚を十分楽しむことができました。何度も潜っていると身体が慣れてくるので 1日目よりも耳抜きがスムーズにできて潜っていて楽でした。


サンゴに群れる魚

 座間味島での4日間もあっという間に最終日を迎え、午前の高速船で座間味島を離れました。乗り物を乗り継いで夕方に伊丹空港に到着しました。座間味を出発してから伊丹に着くまで約7時間。さすが離島、慶良間は遠かったです。
 戻り梅雨だった沖縄も私が帰った翌日からようやく天気が良くなったそうでタイミングは悪かったですが、2日間とも海に潜ることができ、様々な生物を見ることができました。自然が相手なので天気が心配でしたが、台風が来ることもなく一安心でした。
 慶良間の海は本当に綺麗で生き物の種類も多く、潜っていてとても楽しい海でした。ほかの人にもお勧めしたいのですが、宮古や石垣と比べるとバリアフリーは整備されておらず、ちょっとお勧めしにくいのが残念ではあります。また両親の年齢を考えると、これからもダイビングを続けていくうえの課題として「陸上での介助者の確保」をどうするのかを考える必要がありそうです。
 いろいろと課題は多いですが、それでも海に潜るのは楽しいですし、体力のあるうちは続けていきたいです。海に潜ってしまえば健常者も障害者も関係なく楽しむことができるのがダイビングのいいところです。もし興味のある方がいたら、ぜひ一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか?


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