「縦横夢人」2019年秋号(No.26)
会員報告
第46回 国際福祉機器展 H.C.R.2019
島本 卓
私は、9月25日(水) から27日(金)東京ビッグサイト西・南展示ホールを会場に行われた「第46回 際福祉機器展 H.C.R.2019」(以下、H.C.R.)の見学をしてきました。日本初の福祉機器の国際展示会であるH.C.R.は、いまではアジア最大規模といわれています。2019年は、14か国1地域より550社前後の企業・団体が数多くの製品を展示していました。来場者は3日間で、105675人が参加(ホームページ速報)。私が見学をした中で、おススメしたい製品について報告します。
H.C.R.に見学に行くと新しい福祉用具の情報が得られ、メーカーの方と意見交換したり、情報を教えてもらえたりするので、いつも楽しみにしています。私は今回を含めると、5年連続でH.C.R.に見学に来ています。年々、新しい製品とともに海外メーカーの参入(台湾)が多く見られるようになったと感じます。それぐらい、世界各国で福祉に対しての考え方、見方が大きく変化し始めているように感じました。多くの障害者、高齢者をはじめ、自らの身体の状況に合わせた。福祉用具の選択肢が広がることによって、日常生活だけでなく、社会参加への可能性も大きく広がると思います。
さて、見学で見つけたオススメ製品を紹介します。今回、私の中で①「入力装置・環境」、②「ベッド操作・マット類」の2つを見学の目的に挙げました。実のところを言うと、私は見学前から褥瘡ができていて、パソコン操作をベッド上に切り替えたいと考えていました。そのこともあって、①②で対応できそうな機器・情報を集めたい思いがありました。
①について、あご操作マウス「ミレット3 Millet 」がありました。自前のパソコンに、接続するだけで操作ができます。機器の中心に黒いセンサーがついていて、製品名にあるようにあごでカーソル操作できます。ブースにある機器を実際に操作してみると、操作感度もよく使いやすかったです。もともとトラックボールという製品を、12年近く使っていましたが、ベッド上で使用する際に課題がでてきたのです。それは、逆さまにトラックボールを使用すると、ボールが顔に落ちてくることでした。使い慣れているあご操作で、ボールが落ちる心配がないので安心して使うことができそうです。
②について、「電動アクチュエータ」がありました。この機器は、電動ベッドに既存でついているものと交換することで、ブルートゥース機能を活用しながら電動ベッドが使えるというものです。電動ベッドを操作するために、介助者、家族が有線リモコンを使っていると思います。例えば、私がベッド上で操作をしようとすると、アームなどで工夫すれば固定ができ、自らのタイミングで操作ができるようになります。しかし、有線なので、ベッドに引かかってしまう心配があります。この機器を取りいれることで、無線リモコンでの操作ができるようになれば、安心です。私からメーカーに、スマートフォンと同期させて、専用アプリを使っての操作はできないかと聞いてみました。私のように口で棒をくわえていると、リモコンボタンを押す力も必要になるので、タッチパネルであるスマートフォンを活用しながらの操作性を求めていることを伝えました。メーカー担当者から、将来的には、開発して実現できると言われました。
年々、福祉機器・用具がどんどん進歩していっていることを感じます。この先、介護ロボットなどをはじめとする、福祉機器・用具にもAI機能が導入されていく可能性はあるのかもしれない。私がいつも感じているのは、福祉機器・用具の開発に、障害者も一緒に関われる機会が欲しいということです。障害者のニーズを聞きながら、デザインよりも使いやすさを求めてほしい部分があります。日本の技術をもって、世界中の障害者に希望と可能性を伝えられるオールジャパン体制の発足を望んでいる。
皆さんも国際福祉機器展に足を運び、自身が求める福祉機器・用具を見つけてみてはいかがでしょうか。
PDF 第46回 国際福祉機器展 H.C.R. 2019報告