「縦横夢人」2019年秋号(No.26)
活動報告
第12回愛音楽(アネラ)音楽祭
伊藤 靖幸
令和元年9月20日新長田勤労市民センター別館ピフレホールで「第12回愛音楽(アネラ)音楽祭in神戸」に出場しました。障害者の社会参加を目的とした音楽祭で、主催は沖縄県で音楽活動をされているケントミファミリーという障害者で結成されている団体です。毎年、沖縄で開催されている音楽祭が神戸で初めて開催されました。これまで私は何度か出場してきましたが、今回の音楽祭のために1年半の年月を費やし、優勝を目指して練習してきました。
私が使用する楽器はブルースハーモニカです。手で持って演奏するのは難しいのでハーモニカホルダーを使って演奏します。アーティストのゆずや長渕剛がギターを弾きながら首にかけて使っているものです。
演奏曲はスティービーワンダーのヒット曲「isn`t she lovely」ですが、一度は聞いたことがあるという人は多いと思います。この曲を選んだ理由は、ノリがいいというくらいでしょうか(笑)
演奏曲を決めたのですが、同じメロディーがずっと続く曲で、変化をつけようと、アレンジしようとしましたが、かなり苦労しました。いろいろなメロディーを試行錯誤して何度も試し、やっとの思いで曲全体の構成が決まりました。毎日2~3時間は練習しつつ、音楽教室にも通い、演奏がうまくできるように取り組みました。
一つの曲に対して長い時間をかけたのは初めてで、よく気持ちを切らさずに頑張ったと自分で自分を褒めたいぐらいです!
本番前日の夜、1年半の集大成が明日と思うと緊張し、胸が高鳴り、ほとんど眠れませんでした。当日、会場を目の当たりにすると緊張がさらに増して足の痙性が止まりませんでした。また、私の出番は出場者10組中、最後を締めくくる大事な10番目。そうトリなんです。でもこれには理由があって、最後にギター補助装置の実演があったからです。
3年前にリハビリテーション工学協会が主催のシンポジウムに三重大学で障害者も弾けるギター補助装置を研究している人が来られると聞き、昔みたいにギターを弾いてみたいと思い、声をかけたのがきっかけで研究者の西ノ平さんと出会い、被験者として装置を使わせてもらっていました。新たにギター補助装置を試されたい方を探されており、アネラ音楽祭の演奏終了後にアピールすることとなり、私もギターで実演することになりました。打ち合わせもあまりできていなかったので、そちらのほうでも緊張していました。
9番目の演奏が終わり、いよいよ私の出番となり、名前を呼ばれステージに上がりました。当日は200名弱の来場者が会場にいましたが、ステージ上ではライトが眩しく、来場者もよく見えてなかったので、案外落ち着いて演奏することができました。猛練習してきたこともあってか、自信も少なからず持っていたので、十二分に1年半の成果を発揮できました。これまでの演奏の中で一番カッコ良い自分だったと自負しています。服装もこの日のために購入し、ばっちり決めていたのですが、ハットを控室に置いて来てしまっていたのが一番悔やまれることです。
演奏が終わり、ギター補助装置のアピールは西ノ平さんのアンデスと私のハーモニカとギターで「let it be」も無事に演奏できました。
来場者も関心を持たれ触られたそうで、もっともっと広がればいいなと思いました。今も当事者で演奏してみたい人を募集しているので、興味のある方はご連絡ください!
気になる審査結果ですが、デゥルルルルル…ドン!「会場投票賞…伊藤靖幸!」ありが気になる審査結果ですが、デゥルルルルル…ドン!「会場投票賞…伊藤靖幸!」ありがたいことに来場者の方が私に多くの投票をしていただき、受賞することができました。
優勝には届かなかったですが、練習した日々は、無駄ではなかったと思っています。なぜなら続けることによって、実力がつくことはもちろん自信がつきます。自信がつくことによって、行動します。行動することで、世界が広がります。世界が広がることで人生が豊かになります。大げさかもしれませんが、本当に人生が変わりました。「好きこそ物の上手なれ」ということわざがありますが、皆さんも夢中になれるものを見つけて、人生を豊かに・楽しく送ってほしいです。
これからも音楽活動を通じて、頸髄損傷になっても人生楽しめること、そして、皆さんに楽しんでもらいたいです。
イベントなどがあれば、お声掛けしてもらえると、喜んで駆けつけて演奏します!
最後にアネラ音楽祭にお手伝い・協力してくださった方々ありがとうございました。