「縦横夢人」2019年秋号(No.26)2019年11月18日発行

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巻頭言

あなたの審判員は誰?

三戸呂克美

 まず、この度の台風により甚大な被害を受け、お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りいたします。また被災された皆様の一日も早い原状復帰、回復を会員一同心より祈念いたします
 猛暑も幾分緩み朝晩涼しくなってきました。これで過ごしやすくなるだろうと思っていたらまた暑さがぶり返す、と言った日々ですが皆さん体調を崩されていませんか。
 さて、9月に始まったラグビーのワールドカップですが、まだ興奮冷めやまぬ今日、多くの人に感銘を与えました。本場のラグビーを競技場に行けば生で観ることができるし、テレビでも迫力あるシーンを観ることが出来ました。しかし、何といっても日本のチームの頑張りが多くの皆さんをテレビの前に釘付けにしたのだと思います。
 ルールが難しい、とよく言われます。確かに、ルールを知っていて観るのとそうでないのとでは観方も変わるでしょう。それを取り仕切るのが審判員(レフリー)です。
 これは我々の日常のケアにも通ずるものだと思います。介護、介助に携わる人が、利用者の障害を知っているのと知らないで接するのとでは、ケアに対する知識や技術・技能、当事者に対する安心感など大きく変わると思います。しかし、我々の生活にはルールを判定する審判員がいません。強いてあげれば、ヘルパー、訪問看護師さんたちが審判員と言えるのではないでしょうか。「いや違う、審判は自分で下す」、と思われている人もいるでしょう。よく聞くのが、自分の身体は自分が一番よく知っている、というセリフです。しかし、もうこのセリフは時代遅れかもしれません。これからは自分の身体をよく知ってもらえる審判員を見つけ、日常生活を安心して楽しく過ごしたいと思います。ちなみに、今回のワールドカップで審判を務めた日本人は、副審(アシスタントレフリー)の久保修平さんただ一人です。

もくじ

編集後記

 人工呼吸器シンポジウムが無事終了しました。来場してくださったみなさまにお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。12年前に当会が主催して行った市民公開講座の時とは明らかに違う人工呼吸器ユーザーの生活がそこにありました。人工呼吸器ユーザーを含む最重度障害者の生活環境は確実に良くなっていると確信を持てました。一方では問題を取り残して時代が進んでいることも認識できました。環境は良くなっているが問題は10数年前から変わっていない。このアンバランスさこそが生きづらさです。この生きづらさをなくすことが重要であり優先すべきことであります。登壇してくれたスピーカーたちといつか必ず笑いながらお酒を酌み交わす日が来ることを願ってやみません。

(H.M)


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