活動報告 第3回災害リハビリテーション支援研修会報告 「縦横夢人」2020年春号(No.28)

「縦横夢人」2020年春号(No.28)
活動報告

第3回災害リハビリテーション支援研修会報告

PDF 第3回災害リハビリテーション支援研修会報告

米田 進一

 去る2月8日(土)大阪急性期・総合医療センター(以下、略称「府立総合医療センター」と記す。)本館5階研修室にて、「第3回災害リハビリテーション支援研修会」が開催されました。二部構成で、前回までの振り返りと、今回は4名の方から報告があり、新たな情報が得られましたので、その内容を書いてみたいと思います。
 第一部では、府立総合医療センターの塩谷OTから、過去2回の研修会での意見「災害対策について知りたい」「避難先について知りたい」「避難所、福祉避難所について知りたい」等があげられました。その内容も踏まえられた今回、企業の支援態勢、行政や地域の活動、また障害者団体側から見た障害者の支援の在り方が、端的にまとめられて報告されています。
 初めは、フィリップスジャパンの木下氏から。昨年、台風の被害で大規模停電が発生した千葉県で、試験的に「ANPY」を使用した事例の報告です。「ANPY」は、停電した瞬間、端末に内蔵されたGPSから信号が発信され、位置情報や停電経過時間の把握ができるシステムです。同社員が所有するデバイスからスムーズに患者の安否確認が行えるので、呼吸器を使用する方への支援として、迅速に電源供給するという対応ができたそうです。今後の課題としては、保険適用になるよう国や医療機関との連携を図りたいという事でした。※今年3月から順次取り扱い開始予定だそうです。
 次に大阪市危機管理室 地域防災力向上アドバイザーの山口氏。住吉区と阿倍野区の地域を担当され、行政の活動、自主防災組織の体制、地域の訓練状況、災害時避難所、在宅避難者、福祉避難所の現状と課題をお話しされました。
 課題としては、大阪市内に550箇所の避難所を開設はできるが、1カ所あたり300名分の毛布しか用意されていない等の環境が整えられていない事、地域間でばらつきがある事。また、自主防災組織は、医療関係者・事業者・NPO事業者・福祉施設の関係の方が、それぞれ連携をしていく事が大切だと話されていました。
 第二部に入り、ゆめ風基金事務局長の八幡氏から。全国各地の被災地域で、災害時の障害者の支援に特化して活動し、被災地障害者センターやボランティアのコーディネイトをされているそうです。相談支援センターで災害対策のノウハウを教え、ネットワークを作り、そこから得た課題を基にアドバイスする支援を行っています。避難所の物資や設備、設営など様々な視点から、行政のガイドラインを見直すべきだと指摘されていました。長年の経験で、「障害者は避難所で生活するという事自体が大変だ」という想いから、「数十年を振り返った経験を改善に活用していかなければ、日本の災害対策の変化がみられない」という指摘をされていました。


ゆめ風基金八幡氏の発表

 最後に大阪医科大学リハビリテーション医学准教授の冨岡氏から、災害時の対策プロジェクトの取り組みの中で、今後、同大学の学生も参加してもらい、様々な知恵を出し合う事を考えているそうです。また、「中学生や若い人材にも災害時の初期教育を施す事で、迅速な対応や柔軟に動いてもらう事が出来るのでは?」と、期待されているという事でした。バッテリーをドローンで運ぶ事や、医療・福祉関係者と一緒になって物資を配る事が出来たら良いのでは?という事をまとめとして述べられました。
 私達に関わる事なので、来年も引き続き取り組んでいきたいと思います。


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