会員報告 第13回愛音楽(アネラ)音楽祭 「縦横夢人」2020年春号(No.28)

「縦横夢人」2020年春号(No.28)
会員報告

第13回愛音楽(アネラ)音楽祭

PDF 第13回愛音楽(アネラ)音楽祭

伊藤 靖幸

 令和2年2月8日、「第13回アネラ音楽祭」に出場してきましたので報告します。「アネラ」とはハワイの言葉で「天使」を意味し、「愛音楽(アネラ)音楽祭」は障害者自らが企画、出演する音楽祭です。主催は沖縄県で音楽活動をされている特定非営利活動法人サポートセンターケントミです。会場はコザ・ミュージックタウン内のミュージックタウン音市場で、有名アーティストもライブを行う、演奏するには最高の場所です。今回のアネラ音楽祭は、ゴールドコンサートの予選ということで、いつも以上に気合が入ります。このゴールドコンサートは、障害者の自立について理解を深める目的で行われています。ほとんどプロと変わらないくらいレベルが高い音楽祭なので出演者のレベルが物凄く高かったです。
 今回自分は、ブルースハーモニカ演奏で参加しました。演奏した曲は、Mel Tormeの「COMIN’ HOME BABY」という曲です。恐らくご存知の方は少ないと思いますが、ジャズのカッコ良さを表現できる曲で、自分に酔えるような曲です。是非皆さんも一度お聞きください。さて、曲が決まった事で練習を開始したのですが、困ったことがあります。それは、この曲のアドリブ!メロディーラインが3パターンしかなく、それが最初から最後まで続きます。その為、アドリブをたくさん考えないといけなくなりました。まだまだ音楽知識がポンコツの自分なので、まぁ~苦労しました。アドリブを作ってはカラオケ音源に合わせて、また作ってはカラオケ音源に合わせて…。何回も試行錯誤を繰り返し、その結果アネラ音楽祭半月前に全てのアドリブがなんとか決まりました。限られた時間でしたが、出来る限りの練習を行いました。
 今回、開催地が沖縄県だったので、伊丹空港からANAの飛行機で沖縄県へ行きました。いつも通り電動車椅子から機内用車椅子へ移してもらい、移動して機内へ。そして機内用車椅子から座席へ移してもらいました。ここまでは、いつもと同じなのですが、今回いつもと違うことがありました。それが、この身体を固定するためのベルトです。


固定した状態

 このベルトがいつから使われるようになったのかは分からないのですが、サポートベルトのベストタイプで、身体がしっかり固定され、飛行機移動での首や肩の痛みがかなり軽減されました。おススメです。無事に沖縄に着き、宿泊先に移動。明日のため、早めに横になったのですが、体温調節がうまくいかずほとんど寝ることが出来ませんでした。
 8日朝、朝食もそこそこにレンタカーに乗り込もうとした時、まさかの出来事が起こります。バッテリーが上がってしまい、リフトが動きません。そこにいた3人は軽いパニック!レッカーサービスに電話したが、来てはくれるが土曜日ということもあり、集合時間に間に合いません。本気(マジ)でやばい(汗)あっ汗出んかった(笑)ネットで車関係の店を探していたら、めっちゃ近くに外車のレンタル屋があり、藁にも縋る思いで相談に行くと…快くOKのお返事が。車を近くまでもってきてもらい、電気を分けてもらいました。無事にエンジンもかかり、出発することが出来ました。今回はたまたまラッキーが重なり事なきを得ましたが、一歩間違っていたら音楽祭に参加することが出来なかったかもしれません。皆さん、アクシデントがあっても最後まで諦めずに乗り越えてください。諦めたらそこで終了ですよ(笑)無事?に出発して、会場であるミュージックタウン音市場にギリギリで到着しました。まず、急いで主催者であるNPO法人サポートセンターケントミ代表の我如古盛健さんにご挨拶。集合時間ギリギリだった割には、出演者はちらほら。これがウチナータイムというやつか(笑)今回、出演者は15組で、自分の出番は11番。まぁ~順番的には早すぎず、遅すぎずいい順番。次の集合時間を聞いて昼食。しかし、体調不良と緊張であまり食が進まず、開始時間までゆっくりと休みました。そして、13:00からアネラ音楽祭開催。ゴールドコンサートの予選ということで、出演者の皆さん気合が入りまくりです。1組、1組と出演者の演奏や踊りが進んでいきます。そして、6組目が終わったところで、呼ばれました。相変わらず痙性は続いています(笑)9組目、10組目、もう覚悟を決め…舞台に出ます。介助者にブルースハーモニカをセッティングしてもらい準備完了。大きく深呼吸して、カラオケ音源スタートの合図をしました。最初の1音が一番緊張しましたが、最初の1音がうまく出せた後は練習通りの演奏が出来ました。


本番

 演奏終了後は、やりきった感があり、清々しかったです。今出来る限りの演奏は出来ました。さて、後は結果です。待っている時の気持ちは、まさか自分は選ばれないだろうなぁ~という気持ちともしかしたらっていう気持ちでドキドキしていました。そしてそして、「審査員特別賞…ヤスイベントさん!」ありがたいことに審査員特別賞を受賞することが出来ました。ただ、嬉しい反面悔しさもありました。なぜかというと、最優秀賞である愛音楽(あねら)賞ではなかったからです。今回、愛音楽(アネラ)賞はjahli(ジャリ)さんが受賞しました。jahli(ジャリ)さんのパフォーマンスは、本場ジャマイカで鍛えられただけあって、レゲエの神様「ボブ・マーリー」を彷彿とさせる歌でした。


jahli(ジャリ)さんと

 今回、結果とは関係ないですが嬉しい出来事がありました。スペシャルゲストでKiroroの玉城千春さんが来られていました。知っているかなぁ~?30代である自分にとっては、青春時代によく聴いていた思い出があります。そんな憧れの方に写真を撮ってもらうチャンスが!全員の演奏が終わり、審査するため動いたその時に声を掛けました。そしたら快く対応してくださり、写真を撮ってもらいました。嬉しかった~!


玉城千春さんと

 今回の結果は、有難く受け止めたいと思います。ただ、この結果に満足することなく今後も日々精進していきます。
 イベントなどがあれば、お声掛けしてもらえると喜んで駆けつけて演奏します!最後に第13回アネラ音楽祭にお手伝い、協力してくださった方々本当にありがとうございました。


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