特集 コミュニティと私の関係 「縦横夢人」2020年夏号(No.29)

「縦横夢人」2020年夏号(No.29)2020年8月11日発行

特集 コミュニティと私の関係

コミュニティと私の関係

土田 浩敬

1、はじめに

 こんにちは。今回のテーマ、コミュニティから見た自分の生活。このコロナ禍により、自粛生活が求められる中、私たち自身が普段社会参加をしていて、狭域における様々なコミュニティに身を置き、自分はどこに属していて、どのような役割があるのかを、特集テーマを通じて今一度考える機会となりました。私自身、以前の生活を思い返しながら、書いていこうと思います。

2、以前の私の生活

 今回の新型コロナウイルスによる影響で、私の生活は180°変わりました。以前であれば、毎日のように外へ出て、地域社会や様々なコミュニティと関わりを持っていました。生活をする上において、食材を買いにスーパーに行ったり、銀行や郵便局、その他の公共施設、公共交通機関を利用したりすることで、地域社会と関わって来ました。


広電と一緒に

 ここでは、地域社会には私のような重度の障害がある者も暮らしているのだと、啓発的な意味合いも込めて関わりを持っていました。そのおかげで、近所にある飲食店の店長さんと仲良くなり、私の名前を覚えてもらえるまで顔見知りになりました。公共交通機関においては、利用し始めのころは、駅員や運転手がスロープの使い方に手間取っていましたが、今ではすっかり慣れてスムーズに対応してもらっています。
 私が地域で一人暮らしを始めた8年前はノンステップバスもまだ少なかったのですが、私たちのような車椅子利用者が利用することで、徐々に利用出来るバスの本数が増えていきました。そして、私が利用するほとんどのバスが、ノンステップバスまたはワンステップバスに切り替わりました。それは、私たち重度障害者が家族や施設を離れて地域生活を営む中で、地道な行動が結果として現れたのだと自負しています。


兵庫頸損連恒例のバーベキュー大会

 そんな日常が、この新型コロナウイルスの影響で、日常ではなくなりました。地域社会、そして今回のテーマであるコミュニティもそうです。私は普段から様々なコミュニティに関わりを持っていました。特定非営利活動法人ぽしぶる、チャリティショップふくる、兵庫頸髄損傷者連絡会、大阪頸髄損傷者連絡会、日本リハビリテーション工学協会、はがき通信、神戸ユニバーサル研究会と、障害者から健常者まで、幅広く多くの人と接する機会がありました。


兵庫県外のなかまと交流

3、コロナの影響下における現在の生活

 以前とは180°違う生活。重度の障害がある私がコロナウイルスに感染すると、重篤になることは間違いないでしょう。そして私の生活を支える介助者が、もし1人でもウイルスに感染すると、安定した地域生活を送ることが困難になってしまいます。私と行動を共にする介助者の健康を守るためにも、不要不急の外出は避けています。特に、人が集まり感染リスクが高まる場所は、極力行かないようにしています。そんな状況下ですが、iPhoneやパソコンを使うことで、コミュニティとの関わりを保っています。オンラインも便利なもので、会議においてあまり不便さを感じていません。逆に、発言のしやすさや資料に目を通す分にはオンラインの方が快適ですし、移動しなくても良いので、時間を有効に使えます。
 ただ、新型コロナウイルスの影響で、同じ頸髄損傷者に対するサポートや、チャリティショップふくる(古着屋のスタッフとしての活動)は、私自身がその場に行くことが大切だと感じました。頸髄損傷者に対するピアサポートは、私のことを見てもらうことも大切だと思っています。視覚的に見て参考になることが多いからです。車椅子のことや、外出時の工夫なんかに気付いてもらい、少しでも興味を持ってもらうことが、その人の自立に繋がるからです。小さな画面上で口頭だけの説明では、伝のえられるものにも限度があります。ふくるにおいては、障害のある私が店舗にいることに意味があり、そこでレジをしたり、ディスプレイをコーディネートしたり、お客さんとコミュニケーションを交わすことが、障害者への理解と私たちの生活の質の向上に繋がるのです。出来ることをスタッフと一緒に考えて、一つでも増やすこと、お客さんとの何気ないやりとりは、その現場での魅力の一つです。

4、まとめ

 このコロナ禍の中で、人々の生活が一変しました。普段地域社会に私がどのように関わっていたか。コミュニティにおいて自分の役割を改めて考える機会となり、私のような重度の障害者も、社会の中では必要な存在だと再認識しました。家の中だけに焦点を当てると、家の中を整理整頓して断捨離をし、介助しやすい空間造りをしたり、読書をして絵を描いたりと、良いところもあるのですが、社会との接点が薄れてしまうことが気がかりです。
 最後になりましたが、テーマの中に「このようなコミュニティがあればよい」とありました。いい案が思い浮かばず、このコロナ禍において強いて言うのであれば、簡単かつ効果的で快適、完全完璧にウイルスの感染を防ぐ防護服があれば、社会参加も可能ではないかと思います。そんな、夢のような防護服があればの話しですが。
 コミュニティ、地域社会、家の中での生活、それぞれがバランスよく成り立つことが一番望ましいことで、早く元の生活に戻ることを願いながら、いま出来ることを私なりにやっていこうと思います。


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