活動報告「認め合いながら共に生きる」シンポジウム -障害者差別解消法が目指すもの、その課題と展望-

「縦横夢人」2018年春号(No.20)より

活動報告 「認め合いながら共に生きる」シンポジウム
-障害者差別解消法が目指すもの、その課題と展望-

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島本 卓

1.はじめに

 2018年2月4日(日)三田市まちづくり協働センター多目的ホールにて、「三田市から差別をなくす会」が主催するシンポジウムが開催されました。基調講演には「バリバラ」で有名な玉木幸則氏が話されました。その他には、ロールプレイやパネルディスカッションなど内容が盛りだくさんのシンポジウムに参加してきました。

2.「バリバラ」とは

 「バリバラ〜障害者情報バラエティー〜」で、NHKで放送されている障害者をテーマにしたバラエティー番組・情報番組です。この番組でコメンテーターを務めているのが、玉木さんです。

3.基調講演

 私は、今回初めて玉木さんの講演を聞きました。
 感想は、めちゃくちゃ話が面白く、初めて聞いていてもわかりやすい説明が印象的でした。
 まず2016年4月1日に施行された法律の「障害者差別解消法」の内容で始まり、「まだまだ世の中の認知度は低く、差別は解消されていない」ことについても話されました。玉木さんが会場に「皆さん中で自分は差別をしないよって方、手を挙げてください」と投げた時は驚きでした。結果、数名の方が手を上げられましたが、「もしかしたら自分たちも差別してしまっているのかもしれないですよ」と言われていました。そして、差別をしようと思ってやっている人は少ないはずです。差別をされているかどうかは「されている本人がどう感じるか」なんだともおっしゃいました。
 玉木さんが学校に講演にいかれた際「つらいこと」「大変なこと」などをよく聞かれると言われていました。玉木さんはその質問について、「みんなは困ることがないの?」「困ったことってあるよね」と聞き返したりすることがあると言われていました。私も学校で話をする機会があります。言われてみれば、講演の最後の質疑応答では「辛かったこと」「今、1番に困っていること」についての質問が毎回出ていたことを思い出しました。障害者だからと言って困ることばかりがあるのではなく、人として生きていれば楽しいこともあれば、辛いことも必ずあるはずです。そのような質問が出るということは、学校の教育の場であっても「差別してはいけない」と言った内容を子供たちに伝えていますが、あまりにも困っていることばかりを伝えすぎているのではないかと感じることがあります。間違ったことを伝えるのではなく、正しいことを伝えられるような環境作りが今後、重要になると思いました。

4.ロールプレイ

 ロールプレイでは3つの事例が紹介されました。
 1つ目は「車いすユーザーの電車の利用について」です。駅員さんが本人に話しかけるのではなく、介助者に話しかけている最もあるあるの場面を再現されていました。2つ目は「視覚障害の方がラーメン屋で飲食をする」です。盲導犬と言うものがペットとして思われたことによって、入店を断られた場面を再現されていました。3つ目は「発達障害の差別」です。発達障害の知識がないことから、変質者と間違えてしまうようなケースがあること。外見ではわからない障害の見方や差別が起こっている場面を再現されていました。ロールプレイはとてもわかりやすく、グループに分かれて貴重な意見交換もできる機会でした。

5.まとめ

 私がシンポジウムに参加してみて感じたことは、これからも差別というものがなくならずに残るのではないかということです。障害者差別解消法が施行されたからといって、当事者の見方や接し方が急に変わるものでは無いはずです。世の中から差別がなくなり、共生社会の実現に向けて、障害当事者の活動や情報発信が今後も大きな意味を持っていると思います。これからも自分らしく活動を行っていきたいと思いました。

参考
一般社団法人自立生活三田(https://cil-sanda.jimdo.com/ 機関誌「クロニクル 27号

 

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