連載「自立生活満喫中②」

「縦横夢人」2018年春号(No.20)より

連載「自立生活満喫中②」

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伊藤 靖幸

 自立生活満喫中ということで、今回はキャンプを行ったことを紹介します。重度障害者の電動車椅子使用者の私が、どうやってキャンプしたのかも説明していきたいと思います。
 2015年6月、六甲山YMCAでキャンプを行いました。そもそもどうして「キャンプ」することになったかというと、何気ない「キャンプしてみたいね」の会話からでした。そして、日時を決めて動き始めました。まずは場所の問題でした。インターネットで調べ電話をしたのですが、やはり難しいといわれることが多かったです。しかし、協力してくれるところが見つかりました。それが「六甲山YMCA」でした。泊まる場とアクセス調査のため、実際に行きました。山の中にあるキャンプ場のため、道中は悪路でしたが、降りたグウンドを使っていいといってくださり、そこで、テントを張ってキャンプすることを決めました。もし雨の場合は多目的ホールを使わせてもらえるようにお願いし、了解を得ました。バスには乗れますが、バス1台につき車椅子1台しか乗れなく、本数が少ないため、福祉タクシーを頼むことにしました。移乗に関しては、可搬式設型リフトの「トラベルトラック」を持っていきました。また、「空気式のマット」を持って行き、このマットの上に下ろしてもらい、マットごとテントの中に運んでもらうようにしました。

 準備も整い、いよいよ当日。天気は…曇り。阪急六甲駅まで行き、そこから福祉タクシーで六甲山YMCAキャンプ場まで行きます。まさかの着く前から、雨が降っていました。山の天候は変わりやすいので、回復するかもしれないと希望を持ちながらキャンプを始めました。しかし、始まったものの一向に雨は上がってくれません。調理場だった建物の1階を使わせてもらい、調理を始めました。キャンプといえばカレー!ということで、みんなで協力して作りました。車椅子メンバーも横で「あーだこーだ」アドバイスしましたよ(笑)味は…美味い!僕好みの野菜がゴロゴロしたカレーで最高でした。さて、お腹がいっぱいになって、晴れていればグランドで思いっきり遊ぶ予定でしたが、雨のため多目的ホールでトランプ遊びをしました(笑)そろそろ寝ようという事で、作戦通りマットに移乗し、テントの中に運んでもらいました。建物内でテントを張って寝るというのは、どうも変な感じでした。しかし、雨というハプニングはありましたが達成感は大きく、自信に繋がりました。困難なことでも挑戦していけることが自立生活の楽しみの一つではないでしょうか?これからも挑戦していき、自立生活を満喫していこうと思います。

 

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