PDF 「縦横夢人」2020年春号(No.28)2020年5月11日発行(全ページ)
巻頭言
ウイルスとの共存⁉~戦わずして勝つには~
三戸呂 克美
次々と感染した人の数が発表される。日に日に増える感染者の数字。我が街にもついに感染者が現れた。いつかは来ると覚悟はしていたが、いざ現れた、となると他人事とは思えない。危機管理がいつそう厳しくなる。最初のニュースでは一人だったが、次のニュースでは二人になっていた。感染力がすごい。テレビをつければウイルスのことばかり。朝も昼も夜も。そうこうしていると、出すぞ、出すぞと言われていた「緊急事態宣言」が発令された。しかし、国全般でなく7都府県である。(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県)新型コロナウイルスの感染は、若者世代にも広がってきた。当初、感染して重症になるのは高齢者であり若年層には影響しないとの情報だった。東京都が外出自粛の要請を出していた3月末の週末、東京に遊びに行き感染したK県の男性会社員(35)は、「ウイルスを甘く見ていた」と後悔の思いを口にした。
さらに、3月末の深夜に1人暮らしの男性が、徹夜で踊り明かすイベントに参加した。会場には40人ぐらいが集まっていたそうだが、そこは「密集」「密閉」「密接」の「3密」がそろった空間だったという。男性は「都内への外出自粛」は気にしていたが、「東京ではなく千葉なので問題ないだろう」との軽い気持ちだったようだ。体調に異変があったのは2日後、頭痛と倦怠感を覚えたので体温を測ると37・5度、オレンジジュースを飲むと氷で薄まったような味。翌日、悪寒とめまいを覚え、大量に汗もかいたので救急車で搬送され入院。入院先の病院で、ウイルス検査を受け感染が確認された。感染者を集めた4人部屋で過ごし、痰(たん)が出ることを除き容体は安定している。新型コロナウイルスの治療薬として期待されている新型インフルエンザ治療薬「アビガン」も服用しているとのこと。
厚生労働省の4月上旬の集計によると、国内で感染が確認された約4200人のうち、40歳未満は34%を占める。先述の人も、「まだ若いので、感染しても大丈夫という気の緩みが苦しむ結果となった」と後悔している。このことからも「3蜜」を避けることを守り、通り過ぎるのを待つことが、戦わずして勝つことになるのかもしれない。我々頸損者は呼吸器関係に弱い人が多い。今回の新型コロナウイルス禍で命を取られることだけは避けたい。また、自分や大切な人、そして社会を守るため、できる限りの予防策をとり、協力しあって困難に立ち向かいましょう。(※ 原稿執筆時は7都府県であったが、5月の時点では全国すべてに発令された)
ネットニュース参照
もくじ
- 特集『パソコン操作の工夫』
- 活動報告「第21回兵庫県総合リハビリテーション・ケア研究大会」(三戸呂克美)
- 活動報告「第3回災害リハビリテーション支援研修会」(米田進一)
- 会員報告「第13回アネラ音楽祭」(伊藤靖幸)
- 連載「お店めぐり」(橘 祐貴)
- 連載企画「恋旅No.7」(竹村美紀子)
- 連載「Road to Paralympic」(土田浩敬)
- 追悼集「赤尾広明さんとの思い出」(三戸呂、宮野、島本、伊藤、米田、橘、土田、坂上)
事務局からのお知らせ(宮野秀樹)
※今号では連載「糖尿病」は休載します。
〜編集後記〜
新型コロナウイルスの影響で、頸損連関係の様々な行事が中止・延期になってしまい、機関紙の内容を変更することも多かったです。影響が長期化するようだと、今後の紙面づくりにますます悩みそうです。
今号の特集では、「パソコン操作の工夫」をテーマに、それぞれの工夫について執筆してもらいました。また、新しい連載企画として「お店めぐり」が始まりました。コロナウイルスが落ち着いてからになりますが、出かける時の参考にしてもらえたら幸いです。(Y.T)